まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

大阪マラソン(びわ湖毎日マラソン統合大会)振り返り【魂のマッチレース】

エリートランナー限定開催となった大阪マラソン振り返り。

 

 

 

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本番用のメタスピードエッジはNEWカラー。


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朝食はいつも通り、パン、バナナ、ヨーグルトとコーヒー。

パン屋で買った塩パン3つは少し多かったかな?


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エリートランナー待機場所は大手前高校。控室と、200mくらいのグラウンドが使用できた。

気温は10℃を超えそうだったが、風が強くなってきたので、悩んだが冷えないように手袋とアームウォーマーを装着した。

大規模都市マラソンが実現しなかったのは寂しいが、やはりエリート選手としての出場では準備は快適そのもの。

 

後はレースで全力を尽くすだけだ。

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レーススタート。想定外の強風。
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同じような時期、全国テレビ中継される事、今回はエリートレースになった事で、やはりびわ湖マラソンを思い出すが、コースは何から何まで違う。

 

スタートから競技場ではなく、なだらかな下りで景色が見渡しやすい広い道路、トップ選手と走れる興奮も相まってつい力以上に前に飛び出してしまうランナーも多い。

 

ぼくは下手に前につけてしまう事で、前半無駄に体力を消耗してしまわないよう気をつけた。

若干後方に待機し、様子を伺いながら、走力の近い選手を吸収して5km16分前半で進む集団を形成したい。

 

少し時間がかかったが、5km通過する頃には良い感じになっていた。すぐ後ろにはお馴染みのランチューバーランニング食堂さんも。

15分51秒、速いが入りとしては最近よくあるくらいのペース。このリズムを活かして16分10〜20秒付近を刻んでいきたい(奈良の平田さんが負傷で離脱していたのが驚いた)。

 

しかし早くも風の影響を強く感じるようになり、集団が一列になる場面が増えてくる。

そりゃあ、向かい風の状況では誰も前を引っ張りたくはないが、ペースを維持したいなら誰かが行かないと。

ただ、ぼくとしてはもうちょっと我慢して脚を溜めたいな、と色々葛藤していた。

 

出たいような出たくないような、その辺が反映された前めのポジションでレースは進む。

 

ペースがやや落ち気味になってきて、ラン食さんが前に出る。しばらくしてぼくも並んで引っ張る。ここは協力し合いながらですな。

10km通過、この5kmは16分35秒。あ、あれぇ…?


風の影響とはいえ、予想以上のペースダウン。

最初の入りこそよかったものの、早い段階で不吉な予感が…。

あまり考え過ぎないようにしよう。次は追い風でまたペースが戻るさ。

 

しかしあまり評判の良くない直角カーブと折り返しの連続、これに強風が加わり集団のリズムが安定しない。

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さらに日差しが強くなり、風で冷えるかなと思って着けたアームウォーマーは暑くなってやはり失敗だった。
貧乏性もあり、沿道に投げても回収してくれる人はいないので、肘のあたりまで下げてクールダウン。

10-15kmは16分27秒とやや持ち直す。


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以降も悩みながらレースを進める、やや中途半端な展開が続いた。

集団から飛び出して、また下がるという選手も多く見られた。これは真面目に応対しても損するだけだ。

おそらく風除けに利用されたくないから、行くなら一気に上げてしまえという思考が働いているのだろう。

15-20kmは16分30秒。ハーフ通過は69分丁度と、想定していたペースより1分は遅い。

 

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海外でも話題の?左足アシックス、右足ナイキの東大院ランナー古川選手もハーフ付近から前に飛び出す。

古川くんはそのままの勢いで行ってしまった。このあたりは自分も行くべきか、難しい場面。

 

ここ最近の失速や、30km手前の難所のアップダウンがある事を考えると”温存“という結論に落ち着いてしまった。

どうしても記録を出したいという硬さもあったように思う。

そうこうしているとラン食さんはお手洗い離脱。まずい、ますます競り合えるライバルが減ってしまう。

 

決意の25km、最大の難所に突入。

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ただ、先頭が何度か入れ替わる中、再び25km手前で自然と集団の前に出る場面が訪れる。20-25kmは16分26秒。まだギリギリセーフか。

 

1番力を温存しておきたい局面だったが、もう痺れを切らしたような状態だったのだと思う。

周りの様子を伺うのはやめて、自分でレースを作ろう、もうそれしかない。

まだエネルギーは残っているはずだし、ここまで集団でもらったリズムを使えば、自分の力で押していけるはずだ。

 

一直線になった集団を引き連れて、上半身をしっかり使う意識でペースを刻んでいく。

 

いよいよ最大の難所、30km手前の20mほど上る坂道とご対面。

三重県のエース、M40ハーフマラソン日本記録保持者の松岡さんが並んできた。
これまでも何度か同じレースを走ってきたが、序盤から集団で軽そうな動きをしており調子は良さそう。

 

坂ではハァハァと呼吸が荒くなりそれなりにきつかったものの、覚悟はしていたので、下っている時にはまぁこんなもんかと思いながら走っていた。

25-30kmは16分39秒。うーん、まぁ仕方ないか。まだエネルギー切れの予兆は感じないぞ。

最大の難所は越えたが、ここからは細かいアップダウンも続き、ジワジワ脚を使わされていく。

焦らず、今のペースを維持することだけを考えて走った。

 

終盤は魂のマッチレース

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最後の折り返しを終えると…あっ、松岡さん以外誰もいなくなっていた。


引っ張ってなるべくイーブンペースを保つだけで、周りのランナーはほとんど落ちてしまった。やはり今回はタフな条件なのだろう。

松岡さんはここまで無駄な動きが無いし、終始冷静に走っているように見えた。

 

30-35kmは16分41秒。よし、落ちてない。

松岡さんとのマッチレースになり、どこまで今の走りを続けれるか、自分との勝負に打ち勝つ事で相手にも勝てると考えて走った。

 

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前回の福岡国際では山口純平選手のスパートについて後半潰れてしまったことから、今回はとにかく終盤まで石橋を叩くようにペース維持を意識して、一気に上げる瞬発的なスパートのかけ方は封印した。

これだけ安定したペースで行っていれば、後ろから抜かれることはほぼ無いし、前から落ちてくるランナーもドンドン拾っていく。

 

終盤はほぼ真っ直ぐの走りやすい綺麗な道で、追い風気味。

 

今回はガス欠を感じず終盤までフルマラソンを押していけているのに喜びを感じていたが、さすがに慎重過ぎた部分もあるかもしれない。

 

39km付近で松岡さんがスパート、やられた。一定のペースを維持するのに精いっぱいで走りに”溜め“がなかった。

 

35-40kmは16分52秒。一応初めてフルマラソンで全ての5kmで16分台以内を維持できた。

40kmは2時間12分丁度くらい。

よほど切り替えないと自己ベストは厳しそうだが、勢いをキープしているならラスト2.195kmもまずまずのタイムで走れるのではないか。

 

とにかく後は松岡さんの背中を目標に頑張りたかったが、殺しのある見事なスパート。一気にぼくの身体は固まり、離されてしまった。

 

さらに曲がってから忘れていた風が疲れた身体を襲う。これでリズムが崩れ、集中していた気持ちも抜けそうになる。

 

思うようにペースが上がらないままラスト1km、そして最後の直線。

あ、しまった。フィニッシュ手前でスピードランナーの井下さんに抜かれてしまう。

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タイムは2時間19分46秒。サードベスト、3度目のサブ2:20という結果だった。順位は61位。ラスト2.195kmは7分45秒ともうひとつ。

 

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目指していたタイムには及ばず、複雑な気持ちではあるが、20分切りというのは最低ラインはクリアできたかとは思う。

正直今回の条件で16〜17分台を狙うのはかなり難しかったと感じた。

難コースで走力の近い強豪が東京マラソンに流れ、さらに強風のコンディションで集団が崩れていく悪循環。

 

25kmからほとんど自分の力で走ったし、今できるベストは出せたという気持ちもある。

 

反省点は思いっきりが足らなかったこと。記録を狙うなら早い段階で展開を変えるようなペースアップをする必要があったのではないだろうか。

ただ今回の難しい状況を打破するには、やはりもうひとつ上のランクのスピードが必要だと痛感した。

 

帰ってから録画を見たが、トップ集団はペースメーカーがつくとはいえ最後まで強風を感じさせない力強い走り。川内さんや、今井選手、岡本選手といった歴戦の猛者の激走もとても刺激になった。

 

 

厚底シューズという武器も解放してしばらく経ち、今はただ自分を磨くことに集中できる状況になった。

 

より速く、そしてより強く。結局はそれを目指すしかないのだ。

 

ぼくの視線はもう次に向かっている。

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レース結果

 

2時間19分46秒(61位)

HALF:69:00-70:46

15:51/16:35/16:27/16:30/16:26/16:39/16:41/16:52/7:45

 

👟▷METASPEED EDGE

 

☆三度目の20分切り

☆初めて5km16分台キープ

 

次回は初めての大阪マラソン・レース前後編となります。

 

↓昨年のびわ湖マラソン振り返り記事

www.takemarun.com