まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

最後のびわ湖毎日マラソン振り返り。〜さらばびわ湖、こんにちは新しいマラソン〜

最後のびわ湖毎日マラソン振り返り。

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直前まで迷ったが、ほぼぶっつけ本番でアシックスのカーボンプレート入り最新モデル・メタレーサーを使用することに決定した。

 

練習、調整も万全でとても調子が良い。気象条件も10℃弱曇り、微風と絶好になりそうだ。

 以前とは違い、昼ではなく9時15分スタート。


Start-5km〜出だしで決まった?〜

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レーススタート。

今回は400人ほどが出場し、初めのトラックは混雑していたので、近くで転倒する人もいたが、ぼくは程よい位置どりで1kmを通過。

 

後ろから「3分14秒」という声、久々に一緒に走るライバルのぎょうばさん「そんなに遅いかなぁ?」と会話が聞こえてきた。
ぼくも心の中で頷いていた。


テレビで見ても、びわ湖の最初の1kmはいつも少し長いような気がする。

よく一緒の集団で走るおだ君も少しペースを抑えたい感じが見えた。

 

ぼくはというと、前を追う判断をした。

 

川内よしきくんや、前回の福岡国際で上位の選手達を前の方に見つけたからだ。

メタレーサーなら前回のようなペース配分でも保つかもしれない、というのも頭の中にあったと思う。

 

少し呼吸がキツく感じるが、前回と同じくらいだろう。

この判断が、最初にして最大の失敗だった。

 

初めの5km、15分39秒。前回よりもさらに20秒程度速い。

またぼくはハーフマラソンを始めてしまった。

 

 

5-10km・10-15km〜安定した集団を探せ〜

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さらにこの集団は小さくなり、よしき君達の集団には追いつかないが、後ろにも下がれない。

誰かが急に前を追いかけたり、また戻ったりして落ち着かないし、序盤からかなり体力を消耗しそうな展開。これはイヤ〜な感じ。

 

しかし途中でスズキ浜松のトップ選手である伊藤大賀選手が前から落ちてきて集団に加わり、近くのチームメイトを引っ張ってくれたので、安定したペースに戻った。

 

ありがたいと思ったが、後ろの集団も遠ざかり、もうこのハイペースで後戻りできないという恐怖感の中、走り続ける事になってしまった。

 

5-10kmを15:56、10-15kmを15:58という見事なイーブンペースで通過した。さすがトップランナー。10km通過は川内杯や窪川ロードより速い31分35秒。

 

 

15-20km・HALF~ほぼ自己ベストで通過~

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そうこうしているうちに、目標にしていた前の集団のペースが落ちて、追いつく事に成功。

ぼくを忘れてもらっちゃ困るぜ、とレベルの高い大きな集団に合流できたのはとても嬉しかった。

一方で、「そろそろペース落としたいなぁ、このまま集団で牽制してくれないかな」という弱気な心も徐々に出始めていたようにも思う。

 

15-20kmを16:00、ハーフ通過を67:05、福岡よりさらに17秒速く、自己ベストと3秒しか変わらないタイムで通過。

 

 

20-25km、25-30km〜ピンチ到来〜

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折り返して、やや追い風?のためか、集団ペースアップ。きつい、でもこんな感じでまた30kmくらいまではつけるかもという気持ちも。

 

集団の最後尾に食らいつくも、23km付近で離れてしまった。

 

まだ諦めたわけではない。自分のリズムで行ける所まで行こう。

20-25kmは16:06。全く悪くないペースだ。前もそこまで離れていない。


 

しばらくして、同じように集団からこぼれた選手3人程度と協力しながら走るが、次第に脚は重くなり、前の集団も遠ざかっていき、雲行きが怪しくなってきた。

 

ちなみにここまで給水(スペシャルドリンク)をほとんど失敗。序盤でボトル見えなかったことで焦り、途中からナンバーカード「186」の末尾の数字を「8」と勘違いしてしまい、8のテーブルを見続けていたことにこの辺りで気づいた。

 

25-30km、16:59。だいぶ落ちた。体感的にも非常にまずい。

 

30-35km〜ラストチャンス〜

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30kmから1kmがとても長く感じる。これもスタミナ切れの悪い予兆。

そして、遂にこの時が来てしまった。

後ろの大集団に追いつかれてしまう。抜かれるならもっと後半ヘロヘロになってからだと考えていたので、思ったより早かった。

 

ぎょうばさんやGRlabひさもとさんとか、スタート前に話したふじまつさんと、他にもサブ20のぼくと近い実績を持つ顔馴染みのメンバーがそこにはいた。

自分のペース配分、判断に後悔の念が浮かんでくる。

 

このまま終わりたくないというプライドか、おだくんに声がけしてもらったからか、はたまたシューズの効果なのか、ぼくはこの集団になんとかついていくことができた。

 

これは自分でも少し驚いた。とてもこのまま保つとは思えないが、しばらく力を借りればタイムをだいぶ稼げるかもしれない。

 

しかしそう甘くはなく、youtuberのまるお製作所さんが34km付近でスパート。ここは勝負所なのだ。

 

既に脚が売り切れたゾンビはお呼びではない。蓄えてきたエネルギーをここに賭けるマラソンランナーの熱い競り合いを、ぼくは歯を食いしばりながら見送った。

 

30-35kmを16:54で通過。何はともあれ、ここで落ちなかったのは大きい。

トータルタイムを見る余裕が無かったが、まだある程度の結果を残すチャンスはあるはずである。

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 35-40km・FINISH〜ハンマーが落とされる〜

 

ここからはかなり抜かれた。今までのマラソンで良い成績だった時の落ち込みくらいには抑えたい所だがとてもきつい。

 

38km、遂に本当の”壁“が襲ってきた。

ドイツ語圏ではマラソンには35km過ぎにハンマーを持っている人が待ち構えているとか言われているそうだが、まさにガツーンと、ハンマーが落とされた瞬間だった。

 

もう、全く身体が言うことを聞かない状態である。前半の真のツケがここできたような感じがした。こうなってしまうとタイムはいくらでも下がってしまう。

 

40km地点、2時間12分10秒くらいなのがわかった。サブ20はギリギリいけるかも、と思ったが、ここでも切り替えはもう効かない。

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フラフラで辿り着いた競技場。

結果は2時間20分40秒。6回目の20分台、コースベストでは走ることはできた。

 

ぼくにとってはそこそこのタイム。しかし順位はなんと179位

途中で抜かれた大集団は予想を上回る2時間16分台も数人出ていた。

信じ難いほどの周りのレベルアップ。

 

そして先頭の鈴木健吾選手の非アフリカ勢初の2時間4分台。川内優輝選手も初の7分台で自己記録を8年ぶりに1分近く更新した。

川内選手の足元はアシックスのプロトタイプ(試作段階)の新型厚底シューズだった。

 

ぼくも今回のレースのキッカケに、カーボンプレート入り厚底シューズをレースで使っていくことを決めた。

まさに川内選手の言う通り、”薄底で自分のベストを狙うとか言ってる場合じゃない“。

2時間4分台は数年前のオリンピック金メダリストの自己ベストも超えているのだ。


自分の本来の自己記録を更新することにささやかな喜びを感じ、夢を諦めるのか?それとも先を行く人達を追いかけることを選ぶのか?


異次元の好記録ラッシュ、新しいマラソンの世界へ

 

メタレーサーは人気の厚底とは少し違うタイプは違うが、ぼくにとっては今までに無い良い靴で、衝撃の少なさが30-35kmの失速は抑えてくれたように感じた。またもペース配分を失敗してしまったのが悔やまれる。

近年のレベルアップを意識し過ぎて、最初から思わず力んでしまうクセは早急に修正していきたい。

 

びわ湖の直前に学生時代から愛用してきたアシックスとアンバサダー等の協力が始まったが、福岡が終わったあたりから、自分の中にあるモヤモヤにそろそろ区切りをつけたいと思っていた。


好きなメーカーを信じて走ることができれば、ある程度は納得いかない部分も妥協できる。

 

まだこの業界でライバルと戦いたいし、世界のマラソンにエリートランナーとして出る夢も諦めたくない。心に残る葛藤も、まずは結果を出してから考えたい。

 

びわ湖で初マラソンを走ってから丁度10年。もう過去の実績は意味を持たない。

 

最後のびわ湖で、またぼくの新たなマラソン人生がスタートした。

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レース結果

2時間20分40秒(179位) 

気温7℃、湿度57%

15:39/15:56/15:58/16:00/16:06/16:59/16:54/18:41/8:27

HALF67:05-73:35

使用シューズ…メタレーサー

 

 

☆25km(1:19:39)・30km(1:36:38)・35km(1:53:32)PB更新  

☆コースベスト

△過去最低順位…

 

さらばびわ湖!

 

www.takemarun.com