今回は10km(10000m)レースペーストレーニングについて解説していきます。
(Brige to Brisben 10km Race)
10kmレースペースのインターバルは世界中のランナーにとって年間を通して主要なトレーニングの一つと言えるメニューで、ぼくも効果を実感している練習です。
十分な練習を積んだランナーにとって、最大酸素摂取量を高めると言われるトレーニングは3000m〜5000mレースペース、乳酸閾値を高めるトレーニングは15km〜ハーフマラソンレースペースで走るのが最も効率が良いと言われており、これに比べると10kmレースペースのトレーニングの生理学的な効果はあまり解説されていませんでした。
CVトレーニングについて
近年、10kmレースペースインターバルはCV(Critical Velocity=臨海速度)トレーニングと呼ばれ注目されています。
CVトレーニングを提唱したトム・シュワルツコーチの研究データによると、最大酸素摂取量90%に達するペース(ほぼ10kmレースペース)でのインターバルは、速筋繊維の持久力向上をもたらし、継続して行う事で着実にレースのパフォーマンスを改善させるという結果が出たそうです。
5kmレースペースかそれ以上のハードなインターバルトレーニングの効果は3〜4週間で改善が頭打ちになる事と、練習後のダメージ回復に時間がかかってしまう事がデメリットに挙げられています。またLTペースでインターバルを行うと選手はスピードが上げれない事がかえって不快に感じてしまったようです。
これは歴代の名コーチの指導理論、そして自分自身の練習経験にも当てはまっており、とても納得できました。
「リディアードのランニングバイブル」でも基礎作りのじっくり有酸素能力を養う期間に強度の高い練習を行う事に警鐘を鳴らしています。
10kmレースペースでのインターバルは、ダメージを減らしながら量も稼ぎつつ、なおかつスピードも刺激できるという非常にバランスがとれた練習メニューと言えるのです。
10kmのレースペースはもちろんランナーのレベルによって異なります。CVトレーニングで推奨されるのは30〜35分持続できるスピードで、この時間で10kmを走るのはエリートアスリートレベルになります。多くのランナーはもう少し5kmのレースペースに近いペースでトータル6〜7km程度を目指して行うと効果が得られやすいと思います。
ぼくにとっては目安は腹八分で終えたい時は1kmなら8本、しっかり追い込みたい時は10本といった感じです(完全にオールアウトしてるわけではなく、あくまでトレーニングとしては十分と感じる量がトータル10km)
10kmレースペーストレーニング例
1kmX6〜10(rest 90"jog or 200~400m jog)
1200mX5〜8(rest 400m jog)
1600mX4〜6(rest 400m jog)
2kmX3〜5(rest 400m jog)
(2km+1km)X2〜3セット
2kmX3〜4+1km(1kmはスパートをイメージ)
その他バリエーション
ここまで10kmレースペースインターバルのメリットを解説してきましたが、気温が上昇してくるとこのバランスが崩れ、無理に追い込むと負荷が大きくなり過ぎてしまう可能性があるので注意です。
高温時、レースが近づいてきた移行期や調整では量を少なめにして、200mのショートインターバルをミックスする方法もオススメです。
逆に寒い時は変化走やファルトレク形式でスピードを上げ過ぎないやり方が有効です。
・スピードミックス
1kmX5〜8+200mX5 or 400mX3
・短く分割して少し速いペースで走る
400mX12〜20(rest 200mjog or 55~60" jog)
600mx8〜15(rest 200m jog or 60~90" jog)
・つなぎを速いジョグで走る変化走&ファルトレク
1'on-1'offX15〜20(1分速く、1分ジョグより速いほどほどのペースで繋ぐ)
1.5kmX4〜6(rest 500m 速いジョグでつなぐ)
1km-1kmX5〜7(1km速く・1km30秒前後遅くの繰り返し)
1分以上持続するファルトレクや変化走は10kmレースペース走に近い負荷になる事が多く、基礎作り期間のスピード練習として有効です。