MAGIC SPEED 3(マジックスピード3)レビュー。
速いロングランに適したシューズを探して
レースシューズが厚底に移行してから、レース用のメタスピードシリーズと互換性がありつつ、マラソン用の速いペースのロングラン(自分にとっては3:30〜50/km)で走るのに適したシューズが、なかなかしっくりくるものが見つからず悩んでいましたが、最新作のマジックスピード3がスピードが出しやすく使いやすいという評判をよく見たので購入してみました。
前作に引き続き、カーボンプレートが入っています。定価17600円(安売りもよくある)は、カーボンシューズを試してみたい人にも試しやすい価格。ただ反発を生むのに重要な素材は異なっており、最上級の高反発素材FFブラストターボではなく、汎用性の高いFFブラスト+になっています。
ちなみに初代は持っていたのですが、前足部だけカーボンが入っており、形状も「メタレーサー」に近いような独特なシューズで、グリップや反発はそれほど無くスピードはやや出しづらかったです。
アウトソールはメタスピードに類似していながら、補強は踵までバッチリ伸びており、どこから接地しても耐久性は安心。
また踵の接地面積も広めなので、安定感もかなりあります。
このあたりは万人向け〜エリートランナーのトレーニング用というコンセプト通りです。
前足部のソールを見てみると、外側がくり抜かれて軽量化されており、メタスピードスカイ最新作を先取りしたような形状になっています。
なぜここをくり抜くのか?意図はハッキリわかってない部分があるのですが、自分の走法はここは削れにくいのでちょうど良かったです。
ヒールカウンターも硬めで安定しており、厚さは36mmと近年のシューズの中では標準的でしょうか。
細かい部分を見ても、あまり尖った要素が無く、バランスとれた作りをしているのがわかります。
アッパーはスケスケ。なんだかスースーする気もしますが、履き心地は気持ちよくて好感触。
ただ周りでもサイズが小さめという意見がかなり多く、試し履きもして少しつま先が長い感じはしましたが、ロング走中心に使おうと思っていたので無難にワンサイズアップしておきました。
重量は220g台(28cm)と、程よい軽さです。厚さを考えるとほぼトップモデルのスーパーシューズと同じと言えます。
厚底練習シューズとして完成された性能
使用してみると、最初は強い反発も無いため、これといった特徴を感じなかったのですが、1番の目的であった3:30~50/km付近のロングランで使ってみると、これだ!と求めていた感触に行き着きました。
メタスピードシリーズのようなカーボンの推進力でゆったりと走れつつも、反発で無理に前に走らされる感じはなくコントロールは容易。軽いのでリズムも取りやすいです。
”厚底スーパーシューズとは違うけど、その延長線上の感覚で走れる“という、まさに欲しかったトレーニングシューズとしての性能でした。
過度な反発やクッションが無い事で、股関節への負担を減らせたり、様々なペースや路面での対応といった練習での実用性は非常に高く、ターサーといった昔のレーシングシューズがそのまま厚底になったようなとっつきやすい使用感。
ぼくは薄底シューズ時代はターサー系を速いペースロングランに使っていたので、まさにうってつけの感覚でした。
今はマラソン準備のロングランは全てマジックスピード3で行なっており、終盤グッと加速するのにも問題無く対応できるので、スピード練習にも活用できます。
なお、グリップも初代より大幅に進化し、雨の日でも全く滑りません。
中級者のマラソンレースシューズとしては?
完全にメタスピードをメインとしたサブシューズとしての視点になりましたが、一方でターゲットの中級者のレースシューズとしてはどうでしょうか?
メタスピードほどのクッション性は無いので、マジックスピードは初心者には少し負担が大きく、マラソンサブ4クラスなら「スーパーブラスト」の方がタイムも出るのでは?とも思いましたし、このシューズを問題無く履ける選手はメタスピードに行ってしまいそうな気もします。
脚作りはしっかりできていながら、走法的(あるいはコスパ的)に3時間前半クラスのランナーが耐久性の高いマジックスピードをメインにするというのは十分あり得ると思いますが、少し対象ランナーの幅が狭くなってしまいますね。
個人的には中級者のトラック練習、短い距離のレースにも使いやすいのではと思いました。
総じてとても良いシューズですが、扱い方は考えた方がいいかなと。人気のシューズなので周りでも色んな評価を聞きますが、マラソンで使って他のシューズとの比較・感想も聞いてみたいです。
まとめ
評価…A
◯反発、軽さ、価格、耐久性
-クッション、接地感、フィット感
用途…マラソン準備中の速いロングラン、ビルドアップ、ファルトレク、テンポラン
全体のバランスが高水準で良く、最高評価でも良かったものの、つま先キツめのサイズ感が悩むのが残念で若干マイナス。(ワイドもあるので試してみるのもアリ)
またそれぞれのレベルで目的にあった使用が肝心です。
↓ほとんど別物の初代マジックスピードも他に無い面白いシューズでしたが、色々思考錯誤して進化しているようです。