まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

ロング走についてQ&A[補足・アドバイス]

ロング走についての補足、アドバイス

 

 

 

ウォーミングアップとクールダウンジョグは必要か?

強度を高めたロング走を行う場合は1〜2km程度のウォームアップを入れ、練習後も多少クールダウンを入れる事もありますが、メイン練習で何が大事かを忘れないようにこれらは最小限に行っています。

 

 

練習中の水分、栄養補給はどのくらいすればいいのか

基本的に90分を超えるロング走には水分補給が不可欠で、さらに強度が高くなる場合には糖分や電解質の入ったスポーツドリンクを飲むのが好ましいです。

給水は15〜20分毎に摂るのが理想とされていますが、ぼくは一人でロング走を行っており、マラソン本番を想定してテーブルを用意したり、サポートの人に渡してもらったりする本格的な給水練習は基本していません。

飲み物は一旦ストップして飲んでいるので、あまり何度も立ち止まらないように8km程度毎に飲み物を補給しています。たまにジェルを試す事もあります。


逆に負荷を上げるため、脂肪燃焼システムを刺激するために水のみにしたり、朝食前に行う事もありますが、肝心な練習時間が継続してしまえば意味が無い事を頭に入れておきたいです。

 

 

長く走れば走るほど効果があるのか〜3時間ルール〜

ぼくはロング走において、3時間を超えない事を重要なルールとしています。

基本的に、長い時間を走るほど脂肪酸化量が増え効果が高まっていきますが、3時間を超えたあたりから効果がほとんど高まらなくなるという研究結果があり、アーサー・リディアードやジャック・ダニエルズといった著名なコーチも3時間を超えるランニングは推奨していません。

走る時間が伸びるほど脱水、エネルギーの枯渇、筋肉の損傷でダメージはどんどん大きくなっていくため”費用対効果“が見合わなくなってしまいます。


精神力を鍛えるために、45kmや3時間を超える練習を試すのも一つの手ではありますが、デメリットも考慮せず行うのは「トレーニング」では無くなってしまう危険があるので気をつけたいですね。

 

 

40km走は不可欠?ロング走の長さだけでなく、普段の走行距離、行った回数も重要

日本のトップランナーの間では40kmが最も重要なマラソンレーニングとされており、ぼくも以前は行なっていましたが、故障が増えレース結果も伴わなかった事から30〜35km程度のロング走を中心にした所、記録が伸び故障も減りました。

 

コムラッズマラソン(南アフリカの有名な89kmウルトラマラソン)の優勝者で、マラソンサブテンランナーであるレオニード・シュベツォフは大会に向けた準備で一度も36kmを超えるロング走を一度も行わなかったそうです。ですが、トップランナーは全体の走行距離も週200km程度に達するのも忘れてはいけません。

 

ロング走の身体への刺激は、ただその時何十km走るかだけではなく、トレーニング全体のボリューム、長いスパンで行った回数も考慮して、自分に最適な方法を見つけだすのが大切だと思います。


※トレーニング量が少ない初心者はマラソンに向けて一度に大量の距離を走るべきと言っているのではありません。基礎ができてないのにいきなり長距離走を行なうとダメージが大きく故障の危険性があります。

30km走中心で結果が出ない→35-40km走を試すor普段の総走行距離を増やしてみる

40km走中心で疲労が取れない→普段の総走行距離を減らしてみるor30-35km走の回数を増やしてみる

といった提案です。ぼくも今後また40km走やそれ以上の距離のロング走を試す可能性もあります。

 

・走行距離は多いが、30kmを超えるロング走がほとんど無いスペイン式マラソンレーニン

ファビアン・ロンセロ(10000m27:14.44・ハーフ59:52・マラソン2:07:23):1998年アムステルダムマラソン優勝の8週間前からのトレーニングメニュー – ページ 2 – LetsRun.com Japan

 

 

トラックランナーのためのロング走

主にマラソン選手向けの内容となりましたが、800m〜10000mをメインとするトラック選手の有酸素能力の開発にもロング走は有効である事は、あらゆるコーチが提唱し、証明しています。

リディアードコーチが指導した800m五輪チャンピオンのチャンピオンのピーター・スネルは毎週日曜に35km走を行いました。


これは多くの中距離ランナーにとっては厳しい量になります。個人的には十分に練習を積んだ中距離選手で90〜100分、長距離選手は最大2時間までとするのが適切な量と考えます。

 

また”ステディエアロビックロングラン“のような強度の高い走り込みも、より効率的に持久力を高めるために有効ですが、練習後の疲労度も高くなってしまうためこれによりトラックで行うスピード練習の質が低下してしまっては意味がありません。

特に目標のレースが近い場合は無理して行う必要はなく、リフレッシュも含めて気持ち良いペースでイージーモデラートロングランを行うのがオススメです。

 

 

高温下でのロング走

ロング走は暑い条件で行うのは一気に厳しくなります。

気温が20℃を超える場合は特に電解質を含むスポーツドリンクの給水を気をつけて小まめに行いたいです。

 

秋マラソンに向けてのトレーニングや、7月のゴールドコーストラソン、夏の北海道マラソンに向けたトレーニングでは気温の高い中でのロング走は欠かせません。

ステディエアロビック強度のロング走を行えば後半は心拍数が予想以上に上がると思います。ある程度は心拍数が高くなっても許容可能ですが、体調の変化にはくれぐれも気をつけて行いましょう。

ぼくはかなりの暑さを感じる時は、給水のついでに(水道が近くにある場合)頭に水を沢山かけて再スタートします。

 

しかしこのような対策も気温が25℃を超え、さらに湿度も非常に高い条件下では、ほとんど効果を感じなくなってしまいます。

ここ数年はもっとも暑くなる7月〜9月上旬に20kmを超えるランニングはほとんど行なっていません。

あまりに暑い時期に無理をしてしまえば心身共にダメージが大きくオーバトレー二ング状態を秋までひきづってしまう怖れがあります。過度な脱水、ミネラル損失による貧血も心配です。

 


理想を言えば、10〜15℃くらいで、風も強くない条件でできれば身体もよく動きやすく最高ですね。 

 

ラソン4時間以上のランナー(レースペース+秒/kmという考え方について)

ラソンの完走タイムが4時間を超える場合は、練習法はウルトラマラソンに近くなるため、マラソンレースペース+〜秒/kmという考え方は当てはまらなくなります。
ロング走はレースペースに近いスピードで行いましょう。ここでもランニングが3時間を超える事はオススメしません。

 


メンタル面のアドバイス

ロング走が苦手なランナーは、遅いペースだとイライラしてしまったり、長い時間走り続ける事が苦痛になってすぐやめてしまう事もあります。

 

ぼく自身はあまり長い時間走るのを苦にしないタイプで、春野の660mクロカンをグルグル30km以上回り続ける一見退屈なロング走も定期的に行なっています。初めの方は長く感じても次第に集中できるようになってくる感覚が気持ちいいです。


走っている時は次のレースで快走する妄想をしたり、ロング走の前にレース動画を見たりするとトップランナー気分で楽しく走れます。

 

変化がほしいランナーは、ファルトレクや変化走を混ぜたロングランを行なってみてはどうでしょうか。

 

www.takemarun.com