ふくい桜マラソンレース振り返り。
新作のメタスピードエッジパリで挑戦。
前足部も分厚いソールながら、軽くて柔らかく、今までの厚底シューズで1番走りやすい。
目玉の“サブ10チャレンジ”と後方追い上げ作戦
今回が第1回大会で盛り上げにかなり力を入れているふくい桜マラソンは競技面でも次世代マラソンランナーの育成に意欲的。
前マラソン日本記録保持者である大迫傑選手が大会プロデューサーに就任、JMCシリーズに加入し男子はサブテン(女子は2時間35分切り)のペーサーがつく単なる地方マラソンの枠を超えたハイレベルなレースになっていた。
さらに5kmの部も実業団選手や強豪校が数多く出場している。
豪華なメンバー。
ただ初めての大会だし、いきなりサブテン狙いは難しいのではないか?と考え、ぼくは後方集団から落ちた選手を拾っていけば「トップ5」、ひょっとしたらそれ以上も狙えるのではないかと思った。
朝食はバナナ、ヨーグルト、ロールパン4個。大体いつもの内容。
今回はスタート地点の近くのホテルがとれたため、初めてホテルでレースの準備を全て済ませた。
周辺でウォーミングアップを行い、着替えやトイレを済まし、小さいボトルで水だけ持ってスタート地点に移動。これが超快適だった。
JMCシリーズ #ふくい桜マラソン🌸】
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8:30号砲💥
まもなくスタート‼️
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— JMCシリーズ (@jmc_series) 2024年3月30日
レーススタート。
予定通り、最初のサブテンチャレンジグループにはつかず、第二集団を形成しようとする。
だが集団のリズムが遅く感じたのと、前がそれほど離れてなかったので、ついムズムズして追いかけてしまった。
3kmほどで気がつくと、前も後ろもまぁまぁ離れた単独走。いきなりまずい…。
何度か後ろをチラ見すると、石川県の開上選手とウルトラマラソン世界王者のオカヤマン選手がもうすぐ追いついてきそう。
2人ともぼくより3〜4分速い自己ベストタイムを持っており、何度も同じ大会で走った事があるよく知っているランナー。少ない集団で一緒に走るにはうってつけのメンバーだ。
5kmは16分04秒。大体これくらいで入りたかった理想のペース。
その後6km地点のあたりで吸収され、まずはオカヤマン選手に引っ張ってもらいつつ、途中で並んで良いリズムをキープしようとする。
これで入れ替わりながら3:15/km付近のペースを維持したら好記録が狙える可能性があるぞ!
しかし5−10kmは16分36秒といきなりのペースダウン。あれれ、ぼくが5km過ぎから落とし過ぎたのか?
このままでは早々に自己記録更新は不可能なペースになってしまう。ぼくは前に出て引っ張る事にした。
序盤は小さなコブのようなアップダウンがちょこちょこあるものの、平坦かつ道が綺麗に整備されていて大変走りやすいコース。リズムも良い感じに乗ってきた。
なのになぜか通過タイムがもうひとつ。今日は思ったより調子が良くないのか、暑さでペースが自然に落ちているのだろうか。
気温はスタート時点14℃付近で思ったより蒸し暑く、発汗量が多い。曇りでこれからはそれほど上がらないようだが、早めに身体に水をかけるようにした。
10-15kmは16分47秒、3:20/km台のペースにハマって抜け出せなくなっている。
スローペースにも関わらず、オカヤマン選手や開上選手は前に出てくれそうな気配が無くきつそうで、どうも本調子ではなさそうだ。
先頭集団から離れた選手もボチボチ出てきたようだが、そのランナーとの差も広がっていくばかり。
よし、もう今日は1人でやる42kmペース走だ。半ば記録は諦めつつも、そう割り切った方がポシティブに取り組めそう。今自分のできる事に集中する。
15-20kmを16分43秒、ハーフ通過は69分51秒。
この低速巡航状態では、良くて2時間21〜22分台になるだろうか。ただ、これなら他の前を行く選手にとっても厳しい条件かもしれない。
今日はどんな展開になっても最後まで諦めない走りをしたい。
オカヤマン選手は離れ、開上選手と2人になり、沿道から”6番、7番“との声が聞こえてきた。ペースメーカーは含まれてないのかな?
強風の河川敷、からの意外な?ペースアップ
ここからは「九頭竜川」を沿って走る河川敷コースに突入し、なんとかなり強い向かい風。ずっと引っ張ってきてこれはキツい。もう笑ってしまうくらい、タイムも諦めがついた。
怖いのでなるべく時計を見ないようにしていたが、20-25kmでラップボタンを押すと16分54秒。
ふう、元からそんなに速くなかったのが功を奏してか?一応許容範囲のペースダウン。
粘っていると、ようやく前からこぼれてきたランナーとの差が縮まってきた。よしよし、マラソンは長い道のり、我慢していれば必ずチャンスはやってくる。
25-30km通過、16分30秒。あれ、ペースが上がってくる!知らないうちに追い風だったのか、前を追った事でリズムが良くなったのか。
また再び河川敷コースに入ると、今度は全く風を感じない。この向きも追い風だ!もう1人落ちてきたランナーも発見し、グイグイ前を追っていくと、開上選手も脱落。という事は、現時点で4位以上は確定だ。
完全にぼくのターン。自分のリズムをキープしているのでスパートというほどの切り替えではないが、徐々にペースアップ。
30-35kmを16分27秒。ここにきて最初の5kmを除き1番のペースアップ。
この前の龍馬マラソンはここから一気に疲労が襲いかかってきたので、慎重に油断せず走った。行場さんに一気に離された37kmのトラウマは払拭したい。
残り5km、よし、身体を叩き折るような”ハンマー“はまだ来ない。
だが手に痺れが出てきて、そろそろスタミナ切れか、あるいは暑いからと水を身体にかけ過ぎたかもしれないと思い、ここからは暑さケアよりなるだけ走る事に集中しようと思った。
この辺りからは距離調整なのか、福井運動公園の周りをグルグルするやや走りにくい箇所。
さらに桐生選手が日本人初の9秒台を出した9.98スタジアムに入って400mトラックを1周する。コースの最初やフィニッシュではなく途中でトラックを走るコースは初めてだ。
ユニークなコース設定ではあるが、この辺りはだいぶ精神的にしんどく感じた。
奇跡の大逆転へ、明暗分けるラスト2.195km
残り3km、身体もだいぶキツくなってくる。誰か順位教えてくれないかなぁ。
こういう大会では沿道から何番!という声が飛んでくるものだが、初めに聞いた1回のみ。この辺は福井ではマラソン大会が少ないから観戦マニア的な人も少ないのだろうか。
と思っていたら39km付近で、“3番が落ちてきた”という声が聞こえてきた。ありがとう!
そして前に落ちてきた選手の姿が僅かに見えてきた。
この距離だとさすがに無理か…?前の選手が途中で止めてるのも密かに期待していたが現在4位で変わらず。
ぼくはこの時点ではまず今の順位で終わるだろうなと思っていた。
40km手前で最後の小さい坂道を越え、いよいよラスト!
また見通しの良い広い道に出て、ハッキリ前の選手が見える。35-40kmは17分02秒、さすがに最後は疲れて5km16分台を僅かに超えてしまった。
差は300〜400m?普通に考えたら逆転は不可能。
だが、明らかに勢いに差があり、もしラスト200mでも、一度追いつくことができればぼくの勝利は確定だ。
ここは、数%の可能性でも信じて、なりふり構わず前を追うべき。
ここで表彰台か4位かでは全く違う。確か3位までは賞金もあるんじゃなかったっけ。
お金のためというよりかは、何でも理由をつけて自身を奮い立たせ、いつも大事な勝負どころで勝てない自分を払拭したかった。
ラストで1km2時間17分10秒付近、今回も2時間20分台は絶対に出す!
うおおおおおおお…
見覚えのある街中に入り、前の背中がみるみる近づいてくる。遂に捕らえたぞ!
ラスト200mで3位の坪田選手をかわし、歓喜のスパート。やった、やったんだ。
しかしまだレースは終わらなかった。
フィニッシュテープが目の前にきたその時、アナウンサーの声がして、これは後ろから最後の力を振り絞って迫ってきているのを察した。
目の前にランナーがいれば力を振り絞るのがランナーの本能、だが僅かに残ったエネルギーを燃やしているに過ぎない。
どんなに迫っても余力の差で絶対勝てるという確信がぼくにはあった。
【マラソン中継】ふくい桜マラソン2024/タイムスタンプ更新【アーカイブ】 - YouTube
結果は2時間20分29秒、4位とは同タイムというまさに胸の差でぼくは3位に滑り込んだ。
マラソンでこんなにギリギリの勝負をしたのは初めてだ。
1位は唯一サブテンチャレンジペースを最大限に活かす事ができたKaoの物江選手が圧勝。2位は我らがコマネチGTRのリーダー小田選手だった。
13時から駅前ステージで表彰という事で、一旦ホテルに帰り公式プログラムで賞金を確認すると、なんと3位30万円!!??
ビックリして目を疑った。4位に賞金は無く、まさに天国と地獄。あの胸の差にこれだけの価値があったのだと思うと、嬉しさと同時にヒヤッとする気持ちも全身を駆け巡った。
表彰式に行き、賞金ボードを見てニヤニヤが止まらないぼく。だ、駄目だ、カメラに向かって笑顔でと言われるまでこらえるんだ…。
既にヨダレが垂れそうなぼくと比べると、さすがに実績のある前2人は堂々としている(ように見える)。
大会プロデューサー大迫傑選手からボードを授与。
サブテンペースについていってないぼくなんかがもらって不機嫌になってないか心配だったが、全くそんな事は無くニコやかに祝福してくれた。
昨年の春は高知龍馬後のとくしまマラソンがうまく調子とメンタルが整わず大失速。
これが本当に悔しくて、今回はそのリベンジをするために出来る限り最高の準備をしてきたので、満足いく結果が残せて、何より難しい展開で最後まで諦めない走りができたのがとても嬉しい。
メンバーや順位を考えても今までのぼくのマラソンでもベストレースの一つだったと思っているが、あとひとつ自己記録更新だけがなかなかついてこない。
7月のゴールドコーストマラソンに望みを繋ぎたいと思う。
レース結果
2時間20分29秒(3位)
(5km)16:04/16:36/16:47/16:43/16:54/16:31/16:28/17:02/7:24
HALF69:51-70:28
☆初福井県レース
☆ラスト2.195km過去3番目
☆都道府県制覇44/47
おまけ。これは走路妨害?
【#JMCシリーズ #ふくい桜マラソン🌸】
— JMCシリーズ (@jmc_series) 2024年3月31日
🥈#小田俊平 2時間19分32秒
🥉#山崎竹丸 2時間20分29秒
4位 #坪井響己 2時間20分29秒
✅JMCシリーズhttps://t.co/uS5WwljNTA pic.twitter.com/7qPn6gnAtY
ところで、自分がラストでどんな競合いをしていたか、ウキウキしてふくい桜マラソンの動画でフィニッシュシーンを確認すると、これは走路妨害じゃないか?という結構際どい走りをしていて驚いた。
どういう事かというと、①フィニッシュ直前で少し身体を寄せにいっている、②一瞬手を出している。というもの。
ぼくは終わった後すぐに、最後少しぶつかってすみません、と言ったが、相手は少し不機嫌そうにしていたので気になってはいた。
横からの映像があればわかるかもしれないが、出した手は強くぶつけたりはしてないはずで、自分的にはフィニッシュポーズをしようと準備していた所で選手の姿が見えて反射的に横に出てしまったのかもしれない。
最後は勝ちを確信してポーズも取っており、相手を邪魔してでも一歩前に出ようという気持ちは一切無かった。
だが故意かはさておき、進路を塞いだせいで前に出れなかったように見えるのも確かで、これが明らかに結果に左右した妨害行為と判断されてもおかしくなかったかもしれない。
陸上競技のルールとしては、抗議は“競技結果の正式発表後30分以内にしなければいけない”というものがある。
表彰までに特に抗議などはなく、ぼくはホッと胸を撫で下ろした。
今回は大きな賞金もかかっていたので、尚更遺恨の残るようなレースはしたくないものだ。
特にマラソンでは最後まで何があるかはわからないので、なるべくギリギリの勝負は避け明確に勝ち切る事が大切だというのを今回の教訓としたい。
これは順位ではなく自己記録更新を目指すランナーにとっても同じ事だと思う。
(↓フィニッシュシーンはこちらの動画2時間1分付近より見られます)
【マラソン中継】ふくい桜マラソン2024/タイムスタンプ更新【アーカイブ】 - YouTube
今回の事は誰かに指摘されたのではなく、自分で動画を見て率直に思ったことで、もし意見があれば教えてください。
初福井・レース移動、観光編に続く
↓悔しかった昨年のとくしまマラソン…