まるランニングマガジン

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高知のマラソンランナー・山﨑竹丸が走る事をもっとディープに楽しむ情報を発信していきます。まるランニングクラブ代表

〜新規大会設立、大阪国際女子マラソンの海外招待選手招聘について〜上野敬裕の陸上界ディープトーク【PR】

日本の陸上中・長距離界において独自路線を歩む湘南トラッククラブインターナショナル代表上野敬裕コーチが、現在の目まぐるしく変化する日本、そして世界の陸上競技についてより深く語っていく特別インタビュー。

 

今回は新規大会設立、国際マラソン大会の海外選手招聘といった陸上競技の大会運営に関わる話を中心に聞いていきます。

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〜新規大会創設について〜

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PHOTO by EKIDEN_MANIA

 

まる)よろしくお願いします。早速今回お聞きしたいメインテーマですが、最近マラソン日本記録者の大迫傑選手が2021年春を目処に新規大会立ち上げを表明して話題になりましたよね。(マラソン大迫傑が21年に大会創設へ 設楽も賛同 - 陸上 : 日刊スポーツ)


上野さんは以前から本業のコーチングだけでなく、陸上界を盛り上げていく取り組みとして、新しい大会設立にも言及されていました。具体的にどのような構想がありますか?

 

上野)いきなり大規模な大会創設は難しいと思うのですが、将来的には、大会創設・運営に携わっていきたい気持ちがありますね。

個人的には、ロードレースよりもトラックレース。今夏初開催されたFUKUI Athleets Night Gamesや、Denka Athletics Challenge Cup 2019(以下Denka Cup)は、今までの競技会の概念を超えた、本当に素晴らしい大会でした。

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まる)Denka Cupは中長距離種目が充実しており、ぼくも出場、観戦してみたいと考えている大会です。どういった感想をお持ちになりましたか?

 

上野)Denka Cupには、実際に足を運び、指導している大宅楓選手【大東建託パートナーズ】が出場させて頂きましたが、演出や種目設定、事前のプロモーションなども、随所に工夫が見られ、いちファンとしても楽しめた大会でした。

まる)動画も見ましたが、地方でこのようなビッグイベントが開催されているのは嬉しいですね。

 

上野)今、私の中で構想としてあるのは、2~3月の沖縄県を拠点としたグランプリシリーズ大会。ちょうど、実業団、大学生の合宿の時期が重なりますし、シーズンインを前にした調整の一環としても需要があるのではないかと考えています。

 

今年で、伝統ある「沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会」が中止になってしまいましたが、代替大会として需要がないだろうかと考えています。

 

まる)ぼくの地元高知でもそうですが、近年地方の伝統ある駅伝・ロードレース大会の終了が相次いでいるような印象を受けます。どういった事情が背景にあるのでしょうか?

上野)「沖縄一周駅伝」では、コースとなる主要幹線の交通量が年々増加し、規制や交通整理のために現行以上の人員を確保することが難しく、選手の安全面を含め大会運営が困難になったことが大きな原因です。

競技場での大会であれば、これらの問題はクリアできるはずです。

 

4~5都市を回り、プロ野球Jリーグチームのキャンプとのコラボ企画や、子供向けの陸上教室なども企画し、自治体・企業も巻き込んでいけば、相乗効果も大きいと思います。

 

各地から訪れたお客さんはオリオンビールを片手に、レースやエイサーを楽しむ。沖縄ならではの観戦スタイルですね。

 

まる)とても聞いていてワクワクする企画ですね。旅ランが好きな市民ランナーにも「観るランニング・陸上競技」の魅力を伝わってほしいと思います。

 

 

大阪国際女子マラソンの外国人選手招聘業務〜

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大阪国際女子マラソンの招待選手として出場するムンフザヤ・バヤルツォグト選手のマネージャー、ヒシゲーさんと。

 

まる)現在は、何か大会運営に関わるようなお仕事はされているのですか?

上野)今年から、大阪国際女子マラソンにおける外国人選手招聘業務を担当しています。

業務は、主催者サイドの担当者の方々と、我々のチームでの協同作業となっています。

 

まる)ぼくも今年は長野マラソン神戸マラソンといった国際陸連ブロンズラベルに認定される大会に、エリートランナーとして出場させていただき、海外招待選手とも交流を深めたりする時間はとても有意義でした。どのように交渉で日本の大会を選択するに至るのか、とても興味深いです。

このような大会では世界ランキングで上位に入る国際的な選手を招待する事が必須ですよね。

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国際陸連の定めるロードレースの格付けはプラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズがあり、国際的な選手を複数招待、テレビ中継、ドーピング検査等の競技性、運営上の様々な基準をクリアする必要がある。

▷【ブログ】国際陸連が2020年のラベルレースとレギュレーション、ラベルごとの認定選手を発表 – LetsRun.com Japan

 

上野)まず、主催者サイドが、どのような大会にしたいのか(目標タイムやラベリングなど)を確認させて頂き、その方針に沿って、外国人選手を招聘するわけですが、単純にタイムが速い選手を呼べば良いというわけではない上に、ラベリングに応じた選手招聘や、大会予算、同時期に開催される別大会との選手獲得競争もあり、なかなかハードな業務となっています。

 

まる)どのようにして選手とコンタクトを取っていくのでしょうか。

 

上野)交渉に関しては、外国人選手が契約しているAR(代理人)の方と交渉します。こちらは、我々のチームのAR資格を持つ担当者が担当し、私は、外国人選手をピックアップしたり、主催者サイドとの各種調整が、主な仕事です。ラベリングに応じた選手招聘が必要なため、ワールドランキングのHPを見ながら、記録や戦績をまとめていくわけですが、実際の走りも確認し、前後半のラップタイムなども細かくチェックしています。

 

▷【ブログ】代理人で見る世界トップ30の陸上中長距離選手 – LetsRun.com Japan

 

まる)実績だけでなく、内容も重視しているのですね。

 

上野)私が重視しているのは、国際大会での勝負強さやアベレージの部分。マラソンは、一回一回の積み重ねが如実に表れる競技なので、アベレージが高い=信頼できると考えて良いと考えています。

 

まる)なるほど。高いレベルで成績が安定している選手は理想ですね。エージェントの方との交渉にはどのようなやりとりがあるのでしょうか。

 

上野)守秘義務がありますので詳細はお話できませんが、ARとの交渉は、駆け引きの連続です。本命の選手とは別の選手を勧められたり、返事を先延ばしさせられたり・・・どこか大学の選手勧誘と似ている部分もありますね(苦笑)

 

 

〜新たな冬場の高地トレーニング環境、レソト王国

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まる)最後に、以前の記事でメキシコ合宿中にインタビューをさせていただいて興味を持ったのですが、中長距離選手のための高地トレーニング環境については現在は確立されているのでしょうか?

 

上野)長年の課題となっているのが冬場に高地トレーニングができるキャンプ地で、過去、メキシコ、ケニア、オーストラリア、アメリカなどを調査し、実際に足を運び、サポートを行ってきましたが、どこも一長一短といった印象です。

 

現在、環境を調査しているのが南アフリカ。ヨーロッパの選手が冬の間、頻繁にキャンプを行っているので、以前から関心を持っていました。そんな折、南アフリカの中距離選手が、レソト王国で高地トレーニングを行っていることを知り、情報を収集しました。

 

まる)レソトというと、あまり聞きなれない名前の国ですが、北京世界選手権の男子マラソンで終盤見せ場を作って14位に入ったツェポ・ラモネネ選手が思い浮かびました。どのような環境なのでしょうか。

 

上野)レソト王国は、周囲を南アフリカ共和国に囲まれた内陸国です。全土がドラケンスバーグ山脈の山中に位置するため、平地が一切なく、全土の標高が1500mを超えています。

高地トレーニングの拠点となるアフリスキーというスキーリゾートは、南アフリカの首都プレトリアや大都市ヨハネスブルグから、南へ車で4時間半ほど。標高は約3200m

 

まる)3200mはかなり高いですね。自分も1500m級の高地で練習した事があるのですが、初日は軽い頭痛がしたり、ちょっとした上り坂でも大きくペースダウンしてしまいます。

 

上野)南アフリカのグループは、ヒルレーニングを行っていましたが、想像しただけで、頭がガンガンしますね…。

現実的に、日本人選手がキャンプを行うのはなかなかハードルが高いと思いますが、南アフリカ訪問の際には、ぜひ訪問させて頂きたいと思っています。

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まる)今回も色々と貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!五輪イヤーとなる2020年、それ以降の陸上・ロードレース大会の動向がますます楽しみです。

 

 

・Denka Athletics Challenge Cup  | デンカチャレンジ

 

・招待選手 | 大阪国際女子マラソン

 

  

[上野敬裕コーチプロフィール]

1972年千葉県生まれ。船橋市八木が谷中学校で陸上競技を始める。
船橋市船橋高校に進学後、主将として、全国高校駅伝8位入賞に貢献した。
関東学院大学に進学後、箱根駅伝出場を夢見るが、度重なる故障の影響で、競技を断念。
その後、マネージャー、アシスタントコーチとして、チーム初出場の礎を築いた。
1997年リクルートに入社。活躍のフィールドを実業団に移し、3度の日本選手権制覇、世界陸上アジア大会
日本代表を育成するなど指導力を発揮。
2009年からは、陸上界への貢献を念頭に、NPO組織を立ち上げ、幅広い活動を行っている。

 

 

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