まるランニングマガジン

まるランニングマガジン

Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

真冬の灼熱レース、バンセンハーフマラソン振り返り[シルバーラベルTOP8!]

国際陸連シルバーラベルレース、バンセンハーフマラソン振り返り。

f:id:takemaru-yamasaki:20191220203835j:image

 

 

初の4時台スタートのレース  

f:id:takemaru-yamasaki:20191220203312j:image

今回はケニア人のデビッド・キベトさん(同い年)と相部屋。このようなエリートレースでは他の選手と一緒の部屋になる事もあるのは噂には聞いていた。

デビッドさんはアフリカのランナーには珍しく日本のターサージール、古いタイプで少し使い込んでいたように見えた。こういうプロ選手もいるんだな。世界、というかアフリカは広い。

 

レースの時間は過去最早のなんと4時30分スタート。

レース前は少なくとも3時間前には起きるので、1時頃起きてもいいかと、デビットさんに聞くと、「ダメだ、2時にしよう」と言うので仕方なく2時に起きる事に。こういう所は日本人は弱い。

スタートが早すぎるので、遅めに起きるのを試してみるのもいいかもしれない、と自分を納得させて就寝。ささやかな抵抗で1時50分にアラームはかけたが。

f:id:takemaru-yamasaki:20191220203324j:image

朝食は近くのセブンイレブンで購入したもの。明治ブルガリアヨーグルトがありました。

キベトさんは結構世話焼きなのか、持ってきたパンやサプリ(粉のスポドリ)をぼくに提供してくれた。

特にスポドリは当日飲むように強く勧められたが、ドーピング検査の対象になる可能性もなきにせよあらず。

それほど疑わしいものだとは思わなかったが、他人からもらったものを飲むのは避けたいので、ぼくはこっそり自分のカバンに入れた。


f:id:takemaru-yamasaki:20191220203316j:image

3時に選手控え室へ移動。コーヒーも出してもらったり至れり尽くせり。

おかげで慣れない時間帯のレースながら、レースに向けて良い集中力を保ているように感じていた。あとはとにかく自分のベストを尽くしてエリートランナーとしての役目を果たすのみだ。

 

f:id:takemaru-yamasaki:20191220205746j:image

スタート前の直前100mを行ったり来たりウォーミングアップ。予報は最低気温が23-24℃とほぼ日本の真夏。バンセンに到着した日はカラっとして気持ちよかったが、この日はかなり蒸し暑く感じた。

早朝で身体はしっかり起こしておきたいので、アップはいつも通り。エチオピア勢の動き作りを交えたアップもチラチラ観察。

 

レース振り返り

f:id:takemaru-yamasaki:20191220203555j:image

(Bangsean21 Facebook)

レーススタート。まずアフリカ勢10名ほどが飛び出す。


これはちょっとついていけないなっていう強烈なペース。少し離れた所に、やはり今回もタイの最強ツインズの1人、ナットワットくんがいたので、一緒に走る事を決めた。ナットワットくんは1人でもイーブンペースで走るのが巧い。

しばらくするとツインズのもう1人・ナットウットくんもアフリカ集団にがんばってついていたが落ちてきた。

 

5km通過は15分43。気温を考えるとかなり速いように感じたが、ナットワットくんが良いリズムで引っ張ってくれたのでなんとかなると思った。

身体の適応で言うとこの時期も温暖な場所でトレーニングしているはずのアフリカ勢やタイ選手の方が有利、と今そんなことばかり考えていてもしょうがない。給水の水はとてもよく冷えていて助かった。

 

ほぼ10月の台北ハーフマラソンと同じ展開に。早朝レースとか、気温もこんな感じだったし(もうちょっと暑い気がする)。

 

ぼくはこの時はナットワットを引き離しながら、後半に逆転を許してしまった。

 

だが、ぼくは今までの対戦で彼の弱点がなんとなくわかってきていた。彼は上り坂に驚くほど弱い。坂になると明らかに息が切れ苦しそうにするのである。

ぼくは8km付近の坂でスーッと前に出てプレッシャーをかけてみると、ナットワットくんはあっさり脱落。

 

ここで完全に引き離すつもりはなかったのだが、この後も思ったより細かい坂があったため、ナットワットくんは持ち味のイーブンペース走で巻き返すことができなかった。

 

ぼくは単独走になり、前のナットウットくん(ややこしい)を追う展開が始まった。

5-10kmは16分42秒。少し落ち過ぎたのではないか…。しかしこの過酷な条件を考えると、今は一つでも順位を上げることを考える方が大切だ。前で1人エチオピアの選手がレースをやめているのが見えた。

 

しかし13kmくらいから自分もクラッとくるような感覚がきた。ナットウットくんとの距離も離れていく。くそー、気のせいだ、フルマラソンに比べればあともうちょっとだろう。

10-15kmは16分48秒。それほど落ちてない。新しいシューズも馴染んできて、ピッチのリズムは良くなってきたと感じていた。

 

f:id:takemaru-yamasaki:20191220203717j:image

後半はコース下見で印象に残っていた名所「猿山」の地帯。

さすがに早朝はおさるさんは寝ていたのかいなかったが、このあたりはライトが少なくとても暗く感じた。

このあたりもアップダウンが地味にありしんどい。かなり暑さがこたえてきたけど、ここまで来たらとにかく頑張るしかない。

 

すると、遂にチャンス到来。明らかに。ナットウットくんとの距離が縮まってきた。やはり彼も最初のオーバーペースと暑さで相当バテてきたようだ。


f:id:takemaru-yamasaki:20191220203550j:image

(Bangsean21 Facebook)

真っ直ぐで広い道が多いので、近く感じるのかもしれないが、なかなか追いつきそうで追いつかない。ナットウットくんも振り返り気づいた。

追われる彼もきついが、ぼくもめちゃくちゃきつい。

いよいよゴールが見えた!

 

f:id:takemaru-yamasaki:20191220203614j:image

ゴール。ナットウットくんには届かなかったものの、総合結果は8位!思っていた以上に良かった。

消耗戦で運良く上位に食いこめたが、今のベストは出せたと思う。

シルバーラベルレースでのTOP8は自分にとっては大きな勲章だ。本当にタフなレースだった。

 

日本勢でトップでゴールしたため、日の丸の旗を渡してもらい、観客にアピール。初めての経験。

ちょっとした日本代表ごっこ。ぼくのような高知で1人で走っているランナーにもチャンスはある。これもマラソン・ロードレースの素晴らしい所なんだよな。


f:id:takemaru-yamasaki:20191220203327j:image

優勝したシセイ・レマ選手(ラソンPB2:03:36)と。今年のベルリンマラソンケネニサ・ベケレ選手と激闘を繰り広げた“プラチナラベルアスリート(世界で男女各23名しかいない)”。この気象条件で独走し62分で走ったのは驚異的だ。

ちなみにデビッドさんは4位でゴールという快走だったが、計測チップ紛失??か何かで失格になってしまったらしい…。f:id:takemaru-yamasaki:20191220203331j:image

ゴール後にもらえるメダルと帽子。

この帽子が異国らしい雰囲気を醸し出してて凄くイイ。日本では夏まで使わないかもしれないけど、とても気に入りました。

 

暑かったけど、予想以上に完成された素晴らしい大会でした。貴重な機会を与えてくださった大会主催者の皆さんには本当に感謝です。

やっぱり海外レースは素晴らしい。

 

 

バンセンハーフマラソン結果

69分53秒(8位)

5kmLAP…15:43/16:42/16:48/(6.0975km)20:41(5k16:57ペース)

ソーティマジックLT2 / ターサーソックス / POLAR M430 

 

☆シルバーラベルレースTOP8

・Bangsean Heritageホテルに泊まればスタート&ゴールまで徒歩0分!

・2019年現在タイ国内唯一のラベルロードレース

・4時半スタートだが日本より時差2時間遅れているのでもう少し調整しやすいのでは

・道は綺麗で真っ直ぐな道が多く走りやすい

・全体的にフラットだが、細かいアップダウンあり

・4時半スタート。最低気温24℃前後湿度もあり日本の夏のような過酷な条件。

・日の出前に終わるのでこれ以上は気温が上がらない。給水の水はキンキンに冷えていた。

 

次回はタイ・バンセンの移動、観光、大会前後の詳しいレポを書いていきます。お楽しみに!

 

↓10月台北でのタイツインズとの激闘振り返り 

www.takemarun.com