今回のシューズレビューは、アシックス初のカーボンプレート入りマラソンシューズ、メタレーサー。
ここ最近履いていた”ライドシリーズ“と同じようなつま先上がりの構造が特徴的です。
初めてのカーボンプレートシューズ(中底)
このメタレーサーは、TRY!ASICS!アンバサダーとして、以前から愛用していたアシックスと本格的にランニング界を盛り上げる企画を協力していく事になり、商品モニター役としていただいたものです。
自分としては既に使っている1万円前後のレーシングシューズで故障も無く十分満足しており、高額な厚底カーボンシューズを使うのはかなり抵抗がありましたが、記録的には自己記録を大幅に更新しても、周りのライバルには差をつけられる一方。
これも運命かな、そろそろ良いタイミングだな、と思いました。
・ほとんど普通のシューズの感覚
とは言え、メタレーサーが届いたのが本番のびわ湖マラソン直前。
さすがに全然合わなかったらまずいので、まずは流しで慣らし、レース二日前の1km刺激走を2分52秒で走れたので、これはイケる!とレースで使うことを決断。
ぼくも他社カーボンシューズも軽く試し履き程度はした事あるのですが、やはり厚底感が強かったり、沈み込みがあるので、今までのレースシューズとはだいぶ違うなという印象でした。
メタレーサーはそもそもソールの厚さは30mm以下程度で(現在陸上競技のルールではロードレースでは40mmまで、トラックでは25mmまでといった厚さ制限がある)、“中底”くらいのシューズ、なおかつ使ってみると見かけ以上に接地が地面に近いような感触で走れます。
それなりに厚みがあるのに、非常に“足離れ”が良く、なおかつカーボンのおかげかしっかり反発もあるので、非常にスピードを上げやすい。同じ中底の“ターサーシリーズ”ともまた違う不思議な感覚になりました。
以前履いたことのある「ソーティジャパン」にも接地感が似ていました。
・サイズが大きい…?
左は普段から愛用しているソーティマジックLT2。この図だけで比較は難しいですが、踵部分が大きく感じます。
メタレーサーは「サイズが大きく感じる」というのをよく耳にしており、おそらくつま先上がりの構造が爪に負担をかける可能性があるので、つま先部が余裕をもたされているんじゃないかと思ったのですが、実際足を通してみると、踵の部分も広く、なんだか全体的に緩い履き心地になってしまいます。
重量は210g(27.5cm)。ここで比較しているマジックLT2は170g、マジックシリーズでももう少し薄いシューズは150〜160gくらい。ターサーも軽いのは170g〜やや重いのは200g程度。
普段履いているレースシューズよりは若干重いかなと思いつつも、厚さを考えるとまずまず、実際履いてみても重さが気になるという事はありませんでした。
びわ湖マラソン本番
スタートしてすぐかなり速いペースの集団についていき、ハーフをほぼ自己ベストと同じタイムで通過、スピード面は全く問題無かったものの、やはりオーバーペースで集団から脱落。
30kmで後ろから来た大集団に追いつかれた時は“もうダメだ”と思ったのですが、30-35kmはそれまでのペースを落とさず粘ることができ、負担の少ないシューズの力に助けられたような感覚がありました。
37km付近で力尽きて、自己ベストには届かなかったものの、6度目の2時間20分台でコースベストは更新。周りは好記録ラッシュだったので最初の集団選びで失敗してしまったのが悔やまれます。
レース中はサイズの緩さもほとんど感じず、むしろ今までと比較しても足裏のマメといった皮膚のダメージ、トラブルはほとんど無く、これには驚きました。
今更ながら、やっぱり薄底でフルマラソンはダメージが大きかったのかなとも…。
優しい接地感、かつ滑りにくいソール(アシックスグリップとウェットグリップラバースポンジが採用されている)。雨の日のテンポ走で、カーブでも走りやすかったです。また、ソールの劣化具合はわかりにくいのですが、耐久度も高そうです。
薄底との比較
【Sortie Magic LT2 vs MetaRacer】
— 山﨑竹丸 Takemaru Yamasaki (@takemarunning) 2021年3月23日
LT2で500mX6…1:29/1:30/1:31/1:32/1:31/1:32
シューズチェンジ
メタレーサーで500mX4…1:30/1:32/1:31/1:33#tryasics pic.twitter.com/f2S0L0R4AE
500mのインターバルを6本マジックLT2、履き替えて4本メタレーサーでタイムや感触を比較する実験。
ショートインターバルだと変わらないか、僅かにマジックLT2の方が走りやすいと感じました。
これは一度の練習で二つの靴を使い分けることで、思ったより違和感が出てしまったというのも影響していると思います。
ほぼ従来のシューズ感覚で走れるメタレーサーでも、薄底の直後に使うとうまく地面をとらえられないように感じました。新しいタイプの靴に慣れると、自分のフォーム自体が変わってくる可能性はありそうです。
・薄底vsメタレーサー、結論は…
改めて、今までの薄底シューズとメタレーサー、どちらを選ぶかと聞かれたら…正直、ぼくは「やはり今までの薄底シューズの感触の方が好きだな」と思いました。
メタレーサーも本当に素晴らしいシューズだと思ったのですが、愛用しているソーティマジックLT2がとても気に入っているのもありますし、競技者にとって慣れ親しんだものを変えるというのは、よほどのことが無いと難しいものです。
ただ、”ソーティシリーズなんて、負担が大きすぎてとても履けない“というランナーにとっては、メタレーサーは気軽に履けるレースシューズだと思いますし、カーボンシューズを初めて試す、反発が強過ぎるものは合わなかったという人にとっても良い選択肢になると思います。
新しいタイプの靴でありながら、どこか懐かしい。アシックスらしい親しみが嬉しくなるようなシューズでした。
トップモデルである“メタシリーズ”の今後の展開も楽しみです。
まとめ
総合評価…A
用途…ロングインターバル、テンポ走、ハーフ〜マラソンレース
【ASICS公式】METARACER - 誰よりも速く、駆け抜けろ。|アシックス