まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

重症になる事も多いアキレス腱炎、対処法をまとめてみた

今回はアキレス腱炎(アキレス腱周囲炎)について書いていきます。
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ギリシャ神話の英雄・アキレウスの弱点だった事が由来であり、”力を持つ者の急所”という意味でもよく使われるアキレス腱。

アキレス腱の故障というと、お父さんが運動会で急に全力ダッシュをしたり、またテニスやバトミントン等素早い動きが求められる球技で急に”ブチッ”といってしまうイメージがあります。これはアキレス腱の完全断裂になります。

ここでお話したいのは、長距離選手にありがちな慢性的な腱の炎症についてです。


はじめてのアキレス腱痛


ぼくが初めてアキレス腱を痛めたのは2009年で21歳の時でした。
時期は真夏。8月末に四国選手権の5000mを控えていたぼくは早朝に市営のトラックで200m×20を久々にスパイクシューズを履いて行いました。

トラックレースでのスピードアップにはスパイクは欠かせないアイテムです。しかしいきなり使うにはトレーニング内容が適切な量ではなかったようです。

はじめに書いたように、これは練習中急にブチっときた、という類のものではありません。
朝起きるとアキレス腱周りが痛くなるのですが、走ってみると少し気になる程度の痛みでした。

ここで当時のぼくは無理して走ってしまいます。しかも当時好んで走っていたアップダウンのコースを。

数日後には、まともに10分と走れないほど痛みは悪化してしまいました。

 


故障後、治るまで

走れなくなってからは自転車トレーニングが中心になりました。
自転車では足首は固定されているので、上り坂で踏ん張る時以外はほとんどアキレス腱に負担をかける事はありません。

しかしアキレス腱炎に対する経験も知識も無かった当時は、自転車と筋トレを増やして運動量をキープするくらいしか思い浮かばず、結局完治までちょうど1ヶ月ほどかかってしまいました。

これはそれほど酷い故障をした事がないぼくにとっては、有痛性外けい骨
に次ぐ2番目の重傷になっています

 

 

2度目のアキレス腱痛


1年半前の秋にもアキレス腱に「ちょっとヤバいかも?」という鋭い痛みが出てきた事がありました。

この時は、疲れが溜まっている時に急にアップダウンのきついコースで走り込みをしてしまったのが原因でしたが、素早く対処する事によって、ほぼ1週間で通常の練習に復帰する事ができました。

ここからはぼくの主に行った対処法について説明していきます。

 


・アップダウンを避ける
基本的に足の接地がつま先になる時に、アキレス腱に大きな負担がかかります。
上り坂では足の接地がつま先になり、ふくらはぎも大きな力を使うため、アキレス腱が痛い時の上り坂はタブーです。また下り坂も強い衝撃がかかるためアップダウンはまず避けた方が賢明です。


・スピード練習を控える
足が痛い時に激しいトレーニングは控えるのはもちろんの事ですが、つま先で強く蹴る時に負担のかかりやすいアキレス腱は特にスピード系は要注意です。
特に全力で走るスプリント走はしばらく様子をみた方が賢明です。

・平坦なアスファルトを走る
これは意外に思う人もいるかもしれません。アキレス腱は捻じる動きにとても弱いです
柔らかくカーブも走るタータントラックや、足元のバランスの悪い芝生や土道は、アキレス腱が痛い時は大きな負担がかかります。
硬いアスファルトの路面はグリップが良く足元が安定しやすいので実はアキレス腱には優しいのです。
傾きやデコボコの少ないきれいな道を選んで走りましょう。



踵が高く内側が硬いシューズを履く
踵が高く、足の捻じりを抑える機能を備えた内側が硬いシューズを選ぶ事でアキレス腱の負担は抑える事が出来ます。

踵の厚いシューズばかり履いていたランナーが急に薄いシューズを履く時は要注意で、スピードを上げるとアキレス腱が急に伸びる負担に耐え切れず、痛めてしまう事があります。

最近はソールがフラットな作りのシューズが増えているので、アキレス腱には少々厳しめの時代になりました。

ぼくは故障が落ち着いてからの移行期はスピードトレーニング用でありながら、少し踵が高めで、内側も硬めに作られてあるアシックスのターサーシリーズを使いました

 
 一番大切なのは急にやり過ぎない事、アキレス腱の周囲を鍛えるプログラムも少しづつ取り入れていく事が大切です。


リハビリトレーニング
負担がかからないトレーニングとして自転車も良いのですが、再発を防ぐためにふくらはぎ・アキレス腱周りを鍛える事も大切です。
階段の段差に立って踵の上げ下げを行うカーフレイズが一番簡単な方法です。
ジムでマシンを使えれば負荷の調整がしやすいですが、無い場合はダンベル等の重りを持って負荷を強化させる事ができます。



つまんでチェック
故障の治り具合を確かめるのに一番簡単な方法はアキレス腱の痛い部分をつまんでチェックする事です。
アキレス腱が気になる時、つまんで痛ければアキレス腱に炎症が起きている可能性が高いです。
逆にこのつまんだ時の痛みが日に日に改善されていけば、順調に回復していると判断する事ができます。


故障も大切な経験
ぼくは上に挙げた対処法を実践し、ほぼ1週間ほどで通常の練習に復帰する事ができました。