まるランニングマガジン

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高知のマラソンランナー・山﨑竹丸が走る事をもっとディープに楽しむ情報を発信していきます

ハムストリングス(もも裏)の故障を引きづらないための大事なポイントまとめ

実は長距離選手にとってもそんなに珍しくないハムストリング(もも裏)のケガ。

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藤原新、太もも裏を痛め東京マラソン欠場※2013年記事

クリス・ソリンスキー 2012年ロンドン五輪選考会前インタビュー ハムストリングスの故障について

ぼくもマラソンを始めてから何回か痛めてしまいました。
過度な負荷によりモモの後ろ側がガチガチに硬化してしまう、一種のオーバートレーニング症状とも言えます。

前に紹介したアキレス腱炎にも似ているのですが、今回も短距離や球技でありがちな急性の肉離れではなく、長距離選手に多くみられる慢性的な筋断裂について説明していきます。
 

一時は競技休養も考えた最悪の時期

ぼくはハムストリングを始めて痛めたのが、2013年の1月。
びわ湖毎日毎日マラソンに向けてトレーニングしていたのですが、まさにランニング人生最悪とも言えるような故障サイクルに入っていました。

 

有痛性外脛骨の負傷から、焦って復帰しようとしてしまい膝を負傷、さらにこれが治った後もマラソンに向けての走り込み中にハムストリングを痛めてしまいました。

 

故障が本当に怖いのが、僅かな痛みでもつい身体がかばう動きをしてしまい他の箇所に負担がかかってしまうこと、また練習を休んで筋力が落ちている時に、故障する前と同じような練習をすると筋肉を痛めやすいということです。

 

また、固く張ったハムストリングはスピード練習に非常に弱いです。

 

ぼくがハムストリングを痛めたのは35km走の二日後にスピード練習をやっている時で、張りは感じていたのですが、このくらい大丈夫だろうと続けたものの、次第に違和感が強くなりになりストップせざるをえなくなりました。

 

プチっとくる急激な痛みではなく、筋肉の中がかき混ぜられていくような感覚が特徴です。

一方で疲労骨折などとは違い、軽いジョギングならほとんど悪化することはなく、走りながら筋肉を回復させることができます。

痛みの具合によっては無理は禁物ですが、筋肉・筋膜の負傷は冷えて固まると血流が悪くなり、回復が遅くなったり再発もしやすくなるので、完全休養が良いとは限らないのです。

とにかくハムストリングが痛む時はスピード練習だけは抑えておくのが懸命です。

だいぶ強張りが取れてスピードを上げたくなってきたら、まずはトラック等平坦な場所でのペース走から始めましょう。


 

治療・リハビリ

痛めた状態というのは間違いなくハムストリングがカチコチに固まっていると思いますが、この時に無理にストレッチで伸ばそうとするとさらに悪化させてしまう可能性が高いです。

 

ハムストリングの慢性断裂の治療については、ここでもランニング事典に載っていた治療法が効果を試してみました。
 
私の考えでは、唯一効果のある治療はマッサージという名で知られる物理療法士の手技だけである。

この手技は、いかに優しくされたとしても非常に苦痛を伴うものであり、ランナーがこれまで一番苦しかったレースよりも苦しいといわれている。
そのためマッサージではなくcrucifixion(はりつけの刑)とでもしたほうがよいほどである。
この痛さにこそ、慢性筋断裂を治す鍵が潜んでいるのである。


患部にマッサージを行うに当たっては、ゴリラのような太い腕と大きな手をした理学療法士に、容赦なく痛めつけてもらうことである。


通常の障害ならば、1回が5分から10分の治療を5回から10回行うと十分効果が得られる。

 
半信半疑ではありましたが、金太郎スポーツクラブ会長にお願いして、手が空いている時に小分けにマッサージしてもらいました。
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さすがに全盛期ほどのパワーはありませんが、腕相撲でぼくを2秒で倒すくらいの腕力は維持しています。

まさにはりつけの刑と言っていい痛みでしたが、ぼくのハムストリングは順調にほぐれていき、後遺症が残るようなこともなく練習に復帰できました。

ただあまりにも刺激が入り過ぎたせいか、筋肉が青く腫れてしまいました。強く痛めた直後は炎症も起こしているはずなので少なくとも一日は安静にしてから行いましょう。

ちなみに会長はマッサージのプロではないので、皆さんはランニング辞典にも書いているようにちゃんとしたマッサージ師にお任せした方が良いと思います。

もう少し優しい方法だと、ゴルフ(テニスボール)、またはフォームローラーをコロコロ転がす方法もあります。

ぼくも定期的に行っていますが、こちらはそれほど大きな刺激は無いので日頃のケアにオススメです。

リハビリトレーニングとしては軽いジョギングとハムストリングの筋トレが有効です。
マシンを使ったレッグカール、ボールを使ったヒップアップやデッドリフト等を使い分けると膝や股関節周りをバランス良く鍛えることができます。
ストレッチも徐々に取り入れて、柔軟性を取り戻していきましょう。

 

予防にタイツの着用

ハムの肉離れが多いスプリンター(短距離選手)が故障予防のため、筋肉が温まりやすいタイツ/スパッツをよく好んで使っていますが、これは長距離ランナーにとっても有効だと思います。
 
最近では市民ランナーを中心にタイツは長距離走でも一般的になり、エリートランナーも試合はヒラヒラのユニフォームでも、トレーニングはタイツというパターンが非常に多いです。
 Mo Farah
Mo Farah leads Cam Levins (left) and Galen Rupp (centre) in training Photograph: Doug Pensinger/Getty Images https://www.theguardian.com/sport/2013/apr/19/camp-mo-farah-london-marathon
 
ぼくも冬場にハムを痛めてしまった時、再発防止のためにタイツを履いてみた所、これが思った以上に体幹が安定してフォームが良くなる感じがあり、普段から好んで使うようになりました。

高価な機能性タイツも人気があり、ぼくも実際履いてみて良いとなかなか良い物だと思いましたが、「かえって脚の筋力が落ちるのでは?」という質問を受ける事もあります。

ぼくは1着だけアシックスのサポート機能の高いタイツを着用しており、後は全てトレーニング用のシンプルな物を使っています(長さはミドル~ロングまで色々ありますがクオータータイツが割とお気に入り)。

確かに機能性タイツの効果に頼り過ぎるのはどうかと思いますが、故障が治りかけの時期や、疲労が溜まっていてしっかりサポートしておきたい日用に一つくらい持っていて損は無いと思います。
※着圧タイツも持っていますが、これは完全にリカバリー用でランニングタイツという位置づけではありません。
 
 

”負のサイクル”に陥りやすいハムの故障。

軽いジョギングは継続できる一方、長引いたり再発もしやすいハムストリングの故障。
 
長距離走の場合、急激ではなくなんとなく初めの違和感を軽視して後々酷くなるというパターンが多いはずです。

ぼくの場合も振り返ってみると、トレーニングのやり方がまずかったなと思ったことがほとんどです。
 
しっかり身体の声に耳を傾け、くれぐれも自分自身を痛めつける負のサイクルに入らないよう注意しましょう。
 

愛媛マラソン後の追記。長い距離のダメージについて

 
愛媛マラソンでは自己記録を更新して2時間20分台を出すことができましたが、気温が低かった事もあってか、右ハムがかなりのダメージを受けてしまいました。
普段ならマラソン後はしっかり休養期間をとっていましたが、1週間後に高知龍馬マラソンの3時間ペースランナーという役目が残っていました。
ぼくの中では、ハムストリングスの負傷は”それほどスピードで追い込まなければなんとかなる”というのが頭の中にありました。

しかし、それにも限度があります。

結果として痛めていたハムの状態自体はそれほど悪化することはありませんでしたが、筋肉がガチガチになり柔軟性が著しく低下していたため、他の箇所がかばってしまい、臀部の痺れや前モモ、膝裏の痛みに繋がってしまいました。

ここで言うかばうというのは、痛めた部分の近くの箇所がしかたなく代役を務めてしまう事で、「代償作用」と言われたりしますね。
 
特に神経痛のような痺れは今までなった事が無く、なかなかスッキリ治りにくく厄介なので気をつけなければいけません。
 
無理するとマズい事になるのはなんとなく予想できていましたが、一度引き受けた事は断りたくないですし、試してみることにしました。

結局の所、振り返ってみると”過度な”スピード練習、走り込み、アップダウンがほとんどの故障の原因になっています。偏ったトレーニングが負傷を生むのではないでしょうか。新しい事を試したい時も段階を踏んで少しづつ導入していくことが大切です。
 
これからもバランス良いトレーニングを心掛けたいと思っています。
 

まとめ

・故障明けに注意。筋力が低下している
・軽いジョギングなら問題ないことが多い。スピード練習の復帰は慎重に
・筋肉をよく温める(タイツの着用、ウォーミングアップはしっかり。特に早朝は注意)
・強めのマッサージが有効
・リハビリは膝・股関節周りをバランス良く鍛える
・モモ裏は固まりやすい箇所。日頃から柔軟性のチェックやケアを
・初期段階では痛くても無理できてしまうことも多い。どこかでストップを。
・ペースは遅くてもやはり急に走る距離を伸ばすのは禁物。他の箇所にも負担がかかってしまう 
 
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