まるランニングマガジン

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高知のマラソンランナー・山﨑竹丸が走る事をもっとディープに楽しむ情報を発信していきます

ぼくのカーボローディング理論・具体的な食事メニューを紹介

今回はマラソン前の食事法として有名なカーボローディングについて書いていきます。

 

 

改めて、なぜマラソンではなぜ炭水化物が必要か

 

マラソンといえばレース前はパスタ、米、餅。
なぜこのように炭水化物を貯め込む必要があるのか?それは炭水化物が走る上で使い易い便利なエネルギー源であり、なおかつ身体に貯めこめる量はそれほど多くないからです。
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びわ湖マラソン前日レセプションのパスタ。海外勢は具無しを注文している選手もいました。


たまに極端な誤解として、”持久走ではほとんど糖質(炭水化物)は使われない”というのもありますが、ゆっくりしたジョギングでも最初のうちは50%ほどの割合で糖質を燃やして走ります。


ぼくがマラソンを走るのに使うエネルギー


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Photo by Kawaguchi


身長173cm・体重61kgで自己記録が2時間22分台のぼくの場合だと

・LTペースより少しだけ遅いペースで42.195kmを走ることができます。
・このペースは最大心拍数の85%前後です。
・この時75%前後の割合で糖質を燃やして走っています
・16kmにつき約1000カロリーを燃やして走ります。
・体内に蓄積できるグリコーゲン(糖質)はだいたい筋肉中に400g(1600カロリー)、肝臓に75g(300カロリー)ほどになります。


マラソンを走り切ると体内のグリコーゲンはほぼ空っぽになってしまう計算になりますが、エネルギーの発電所的な役割を持つ肝臓はグリコーゲンが少なくなると脂肪からケトン体という物質を作り出し身体に糖を送るようになっています。なのでそう簡単に糖は尽きないようになっているのです。

人間の身体って凄い!万事解決…と言いたい所ですが、脂肪を燃やすのは糖質より多くの酸素を必要とするため、後半脚も疲れている時にこの割合が増えると身体にはさらに余分な負荷がかかってしまいます。

ゆえにマラソンの特に30kmを超えたあたりからは頑張っているにも関わらずペースダウンして残りの距離が非常に長く感じるということが起きてしまうのです。

そういうわけでマラソンランナーはあえてそのような負荷に耐えられる身体を作るために炭水化物が少ない状態での走り込みを入れたりもするのですが、レース前に炭水化物を減らすのは糖尿病といった健康上の事情が無い場合限りは、ハンデつきでレースに出るようなものです。


ビギナーランナーの場合
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ランニング初心者の場合は、最大心拍数の85%前後の強度でフルマラソンを走りぬくのは難しいので、もう少し強度が低くなります。
ゆえに糖質を使う割合は少なくなるのですが、それなりの距離を走り込んでいる競技志向のランナーと比べると筋肉に貯蔵できる炭水化物の量がそれほど多くないので、やはりフルマラソンの前は炭水化物を中心とした食事を摂ることをオススメします。


ファットローディング?


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初心者の場合は、脂肪を使う割合が多いということで、脂肪燃焼効率をアップさせるために大会前に脂肪の多い焼肉やステーキ、あるいはケーキを食べたりするファットローディングを勧める記事も見たことがあります。

個人的にはあまりオススメしません。やってみればわかるかとは思いますが、レース中は胃がもたれる可能性が非常に高いです。そのような状態では身体のパフォーマンスがずっと悪いままレースが終わるまで続く可能性があります。

炭水化物は消化に良いというのもレース前においては優れている点です。もちろんこれも過ぎたるは禁物ですが。


フルマラソン以外の種目では?

カーボローディングが推奨されるのは90分以上、それなりの強度で行う持久系運動です。

グリコーゲンの枯渇は、通常20km程度の距離ではまず起こりません。
ですが距離が短くなるほど糖質を燃やす割合は増えるので、食事メニュー自体は炭水化物中心で問題ありません。
しかし意識して増やす必要はありませんし、10km程度なら仮に何も食べなくてもそこまで問題は起きないと思います。

 

実際の食事メニュー例(2016びわ湖)

3月4日(金)
朝・モチ3個(+海苔、チーズ)
間食・バナナ
昼・パスタ、パン、ヨーグルト+半バナナ、トマトスープ
間食・おかき少し
夕・うな丼、漬物、みそ汁、温野菜、りんご、蒸しパン

3月5日(土)移動日
朝・パン、バナナ、ヨーグルト
昼・おにぎり4個(梅干し、鮭フレーク)電車の中での食事
間食・バナナ、缶しじみみそ汁
夕・歓迎の夕べ(パスタ、そば、チャーハン、寿司、野菜、デザートを少しづつ)

※食間にMUSASHIリプレニッシュ1日1ℓ

3月6日(日)レース当日
朝・パン、バナナ、ヨーグルト
レース約10分前・パワージェル

レース中の給水・ムサシリプレニッシュ6本、20km過ぎと35km過ぎにパワージェルと水を混ぜたもの
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この給水の内容についてはアメリカのトップランナーがよくやるパターンで、海外系の情報を調べている人にとっては割とオーソドックスな内容だと思います。
中身で重視しているのはマルトデキストリンが入っているかどうか。
昨年は給水の回数を減らしたりとか、レース中もジェルをそのまま飲んだりということも試していました。
それほど沢山飲む練習はしていないのもあり、一度の給水で飲む量は100ml程度でしょうか。

 

※追記

ゴールドコーストマラソンで35km過ぎにジェル入りの給水を摂った所、目まいがして大失速してしまいました。それまでにもかなりペースは落ちており、消耗しきっている時に大量の糖分が入ったのを身体が受け付けなかったのだと考えています。

毎回こういうことが起こる事は無いと思いますが、良い結果を出せた愛媛も2度目のおかやまもレース中のジェルは無し。ぼくにとってはリスクの価値はないと考えている所です。

内臓の疲労も無く、低血糖ショックも起こりにくいレース直前15分前ほどのジェル摂取は、変わらずかなり有効だと考えています。

 

また、ぼくの場合は月曜日から3日間の炭水化物枯渇期間を作る、いわゆる古典的カーボローディング法を行っています。
一度エネルギーを空っぽにする事で普段より多くのエネルギーを溜め込めるようになるこの食事法は賛否両論があり、エリートランナーでも敬遠する選手が多いので、万人にはオススメできません。


スペシャルドリンクを置けない大会の場合

もちろんスペシャルドリンクを置けない大会に出場する機会も多いです。事前に給水所に置かれているスポーツドリンクやサプリメントはチェックしておきたいですね。

品質の良いスポドリを提供している大塚製薬(アミノバリュー、OS1、イオンウォーター等)が協賛している大会はかなり安心と言えそうです。

川内優輝選手は高知龍馬マラソンでは後半元気の出るゆずジューズがあるのを確認していたとか。さすがです。

最近は極力軽装で走るエリートランナーでも糖質の入ったジェルを携帯して途中で補給するシーンもよく見かけるようになりました。

ぼくが初めて試したのは2015年の高知龍馬マラソンで、タイツにパワージェルを挟んでハーフ地点で補給しましたが特に胃のトラブルは無く、後半少しペースアップできたので割とうまく行ったように思います。

2回目が1か月後のとくしまマラソンで、今度はポケット付きのユニフォームに ぶどう糖  を入れてみましたが、30km付近でうまく噛めず、これは失敗に終わってしまいました。
ちなみにこれは初マラソン学生歴代3位の記録を出した出岐選手の真似で、あの金哲彦さんがアドバイスしたそうです。ジェル以外を試してみたい人は一度ブドウ糖タブレットを使ってみてください。


他にはアームウォーマーに挟んだりという方法もあります。

 

微調整について。発酵食品を多めに

 食事内容を見ているとひたすら詰め込んでいるように見えるかもしれませんが、お腹や体調と相談しながらトラブルが無いように慎重に炭水化物を追加していきました。

今回意識したことは、腸の働きを整えるために発酵食品を多めに摂ったことです。
これは少し前に買った松本翔選手の本(「走り」の偏差値を上げる マラソン上達ノート)を参考にしました。


元から発酵食品は好きだったのですが、レース前の調整で意識して摂ったことはありませんでした。
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木曜の夕食には納豆、味噌汁、漬物、梅干しと、白米に合う多発酵食品を沢山取り入れてみました。

他には辛味が強い刺激物や、生野菜、動物性脂肪を多く含んだ胃にもたれそうな物は控えました。
そうなるとやはり炭水化物中心になるのですが、砂糖や果糖が含むものは摂りすぎるとお腹が緩くなる事もあるので量をコントロールし、あとは合間に飲むスポーツドリンクも冷やし過ぎないことに注意しました。

ちょっとしたことに気をつかった結果、レース当日まで非常に体調が良く、食事の摂り方はとてもうまくいったと感じました。

そして3日前からの小まめなウォーターローディングも含めた水分補給も成功し、当日は20度近く気温が上がったにも関わらず脱水やミネラル損失による悪影響はほとんど感じずに済みました。

 

プランB(専門的なカーボローディングを行わない場合)

体調やそれまでの練習内容によっては、より専門的なカーボローディングを行わない場合もあります。

例えば秋のマラソン(11月前後)に向けての準備。

8~9月は暑さであまり長い距離を走り込めないので、マラソン直前まで長い距離を走り込む事が多いです。
そうなるとタンパク質と脂質中心の枯渇期間を設けるカーボローディングでは身体への負担が大きくなってしまう可能性があるので、試合2~3日前から炭水化物を多めに摂るのみとします。

他にもマラソンを走ってから次のマラソンまでの間隔が短い場合や、直前に風邪を引いてしまった場合は、カーボローディングの効果が薄れてしまう、またはかえってマイナスになってしまう可能性があるので普段通りの食事で調整する事もあります。

 

※追記
結局ぼくは枯渇期を含むカーボローディングしなかったレースでは一度も良い結果は出せておらず、直前に体重が必要以上に増え、後半失速しています。

考えてみるとぼくは初マラソンの時からこのやり方だったので、フルマラソン前は枯渇期間を設ける方が練習も食事内容も調整しやすい"普通"になっているのに気づきました。

 

古典的カーボローディング・マイルド調整版。愛媛マラソン前の食事

 3日間の糖質枯渇期間を設ける古典的カーボローディングは、ぼくにとっては大事なレース前に食事内容を調整しやすく、(普通の食事にした場合のマラソンと比べても)結果が出ているのですが、体調を崩すリスクや大会前にフラフラになる事による精神的なマイナスイメージから実際やってるランナーは今ではかなり少数派だと思いますし、ぼくも安易にオススメはしていません。


ただ自己ベストを出した愛媛マラソン前は少し違う食事法を試してみました。

枯渇期間の最初と終わりに少な目の炭水化物をプラスするマイルドなやり方です。

 

韓国マラソン記録保持者のイ・ボンジュ選手が30代半ば頃にこのマイルドな食事法に移行したというのを参考にしました。

李鳳柱、「地獄の食餌療法」スタート : 東亜日報

地獄のレース前は地獄の食餌療法 : 東亜日報

 

ぼくの場合は、枯渇期間というより、木曜から炭水化物を貯める時に、急に詰め込んでしまい胃腸に不調を感じたこともあった経験からこのやり方にしてみました。

このマイルドな枯渇期間を作るカーボローディング法ならば、興味がある人は試してみてもいいのではないかと思っています。

 

具体的な食事の内容はこちらに書いています。

www.takemarun.com


マラソンは考えることが多いから面白い。
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いかがでしたか?意外と細かいんだな~と思って読んでいた人も多いかもしれませんが、びわ湖ではいつものように前日はレセプションのスイーツの誘惑に負けてしまったりという事もあります…(^^;)


完璧主義はかえって失敗の元になる可能性もありますが、マラソンって色々考えることが多いから楽しいんですよね。

 

パンツにはさんだボトルの意味(福岡国際マラソンコラム 聖地再び)

 

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