まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

ぼくのマラソン最終調整2週間を解説していく[テーパリング]

ぼくの狙ったフルマラソンに向けた2週間前の調整を紹介、解説していきます。

 

ラソンの調整についても、様々な選手の情報を研究し、それを自分に合った形に調整を加えていきました。経験も積み、狙ったマラソンに向けての調整方法にはそれなりに自信ができました。参考になれば幸いです。

 

https://www.instagram.com/p/Bkb-X9uAPio/

6/21Last Interval‥‥1.53kmX5(r500m)6/23Last Long run‥‥24km(4:15/km)169km/week2017-2018シーズンのほぼ全てのトレーニングが終了しました。今年もシーズンの締めはゴールドコーストマラソンになります。あとは調整のみです。#gcam18

 

 

 

ラソン2週間前の練習メニュー(15日間の調整)

PlanA:10kmレース/PlanB:32km走

月jog

PlanA:26kmロング走/PlanB:400mX12(5000mレースペース)

水jog

木jog

1.5kmX5

土jog

日26kmロング走(jogよりは速い快適なペースで)

月16kmjog 昼から炭水化物枯渇期間

5kmマラソンペース(通常16:15~16:35)

水16kmjog 昼から炭水化物補給開始

木16kmjog

金8kmjog+1km刺激走+1kmc-d

土30分jog

ラソン

 

 

 調整期間の練習メニュー解説

 

 ・レース12~14日前の練習

丁度良い時期にレースがあればプランA

10kmレースはスピード、回復にかかる時間とマラソンの調整には丁度良い距離感です。

スイス記録保持者のビクトル・ロスリン、元世界記録保持者のロバート・ドキャステラといった名ランナーも感覚的に2週間前に10kmレースを入れるのを好みました。

レースが無い場合はプランB、通常通り日曜にロング走を入れて、あまり追い込まない5000mペースインターバルで身体が軽く動きやすい状態を作ります。

 

・マラソン9〜10日前の練習(1.5km・リカバリー500m×5)
トータル距離は10km、1.5kmは10km~ハーフマラソンレースペースくらいで、リカバリージョグをキロ4分程度のぼくにとっては"快適なリズムのジョグ"で繋ぎます。それほど難易度の高くない変化走といった感じです。
2016年のびわ湖マラソン前に初めて取り入れてとても感触が良かったのでお気に入りの練習になりました。

ぼくは距離がちょうど良いコースが無いので、この練習はGPS計測で行い、トラック等で行うよりは正確な距離ではないかもしれませんが、あまり自分にプレッシャーを与えず良いイメージでマラソンに繋げるようにしています

 

・レース7日前の練習(枯渇ロングジョグ)

26km前後(100~110分程度、気温によって増減)を目安に、心地よいペースでロングジョグを行います。

これによってそれほど疲労を残さず、炭水化物を消費し、次の日の月曜昼~水曜朝まで炭水化物の摂取を極力抑えます。

レース前の炭水化物枯渇/その後のカーボローディングについて詳しくは

www.takemarun.com

 

・マラソン5日前の練習(5kmマラソンペース)

ぼくはマラソンレース5日前(通常火曜日)に、最後のポイント練習として入りの目安となる5kmマラソンペース走をおこないます。
このメニューだけ聞くと調子をチェックするだけの簡単なメニューにも思えるですが、ポイントはこの期間にぼくは2-3日の炭水化物枯渇期間に入っているため(古典的カーボローディング)、マラソンペースで5km走るだけでも非常にきついトレーニングとなります。

ぼくはこの練習を何度か試して、“入りの5kmでは無く、レース終盤のようなイメージで行う”事にしました。

これは決して全力を出し切るわけではなく、入りの5kmのように楽に走る事を意識するとかえって倦怠感とのギャップに力みが生じてしまうので、この期間はしんどいものだと受け入れて走る事がリラックスに繋がると考えました。

実際には肉体的に大きな負荷がかかっているわけではないので、ぼくは最後のポイント練習を終えて後日大きく疲労が残った事はありません。

 

しかし最後のポイント練習を思うように良いイメージで走れないことで不安が残る人はカーボ枯渇法はやめた方が賢明かもしれません。ぼくたまに火曜の倦怠感が強く感じる時は苦労します(この他にも体調面のリスクがあります)

 

・レース2〜3日前の練習(1km刺激走)
2〜3日前に1km刺激(3分前後)を入れます。昔は刺激無しか、1km入れてもマラソンペースくらいでしたが、速い刺激が入ると当日も良い動きで走れるように感じていたので、最近は10kmレースペースくらいを意識して走っています(大体3分前後)。

また以前はレース2日前に拘っていましたが、遠征の予定も影響するので3日前でもOKとしました。


これはレースのタイムにどれだけ影響あるかはわかりませんが、狙ったレースで身体が気持ち良く動く状態でスタートラインに立つというのは精神面でプラスに働いているのでしょうね。

 

・レース前日の練習(30分ジョグ)

前日は必ず身体は動かすようにしています。軽いジョグと、ドリルやストレッチを少し、流しを数本。

とにかくレース3日前からは、1km刺激走以外の練習は軽いジョグのみとし、身体を休めて炭水化物と水分を貯め込む事に集中します。

 

 

 テーパリングについて


練習量を少しづつ落としていく調整(テーパリング)に関してはいくつか提唱されているパターンがあり、もちろん選手個々の好みによって微調整もされます。

一般的には練習の質(スピード)はある程度維持しつつ、走行距離を3週間前から少しづつで落としたり、2週間前から75%・1週間前から50%と落としていくと最高の調子になると言われていますが、ぼくは直前まではあまり厳密に行わないようにしています。
短期間でガッツリ走り込んで2〜3週間前から練習量を落とすより、自分が続けやすいと思うある程度の走行距離を継続していく方が自分には合っていると思ったからです。


故障、病気、仕事、レースの遠征と様々な理由でスケジュールは変わりやすく、数週間前から完璧な調整をしようと考えるとかえってストレスに感じてしまう事もあります。
ぼくの場合は、1週間前くらいまではほとんど普段と変わらない練習を続けます。
この考え方は”テーパリングなんて難しそう“、と考える人にも合っているかもしれません。

厳密な調整はしなくても、ぼくの今までの経験から、下記のようにザックリしたイメージを頭に入れておくと、オーバートレーニングを避け、狙ったマラソンに最高の状態に持っていくのにとても役立ちます。

 

・4週間前(遅くとも3週間前)までがマラソン練習のピーク。

・3週間前からはなるべく力を出し切らない、疲れが残らないようにコントロールする。
・2週間前からはピーク時の8割程度の内容で行い、ポイント練習は確実に良いイメージでこなせる内容にする。
・1週間前は練習量を一気に落とし、心身共に負荷から解放して集中モードに入る。

 

 

・重い脚について

ラソンの調整では“少し重たいくらいの脚に仕上げた方がいい”と言われる事もあります。これは解釈が難しい所です。

 

確かにしっかり練習ができ、なおかつ燃料がしっかり補給された脚は適度な重みを感じます。

しかし、これはスタートラインに立った時に疲労を感じるような重さだとまずいです。

 距離が長くなるほど、レースが始まってすぐに身体が重たいと感じれば精神的にもプレッシャーに感じるからです。脳も“もうダメだ”という否定的な信号をすぐに送ってしまうかもしれません。

 

2007年にダブリンマラソンでロシア記録を樹立したアレクセイ・ソコロフ選手は脚があまりに軽さを感じたのでレース前日に4時間散歩をして調整したそうです。これは真似するのは勇気がいりますが、もし遠征で前日移動で沢山歩いてしまった時はこの例を思い出してみてください。

 

 

・普段通りのテーパリングを行わずにマラソンを走る場合

ここまで説明したようなテーパリングを行わず、普段の練習のままマラソンに挑んだ事もありますが、あまり良い結果は出ませんでした。

 

しかしテーパリングは1年に何度も行ったり、明らかに練習不足の状態で行うとかえって基礎的な筋力や心肺機能が低下してマイナスに働いてしまう可能性があります。これだといくら当日体調が良く感じても意味がありません。

 

ここまで紹介した調整法はあくまで本当に記録を狙うフルマラソンのみで年2〜3回程度です。その他のレースは細かい事にはあまり神経質にならず、楽しみながら強化として使います。

狙ったレースにピークが合い、普段の練習を遥かに上回る状態が発揮される感覚はとても気持ち良いものです。今までの練習を信じ、しっかり休みをとってレースに向けて“集中モード”を作っていきましょう。

 

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