今回は初めに短い距離の繰り返しで速い動きを作り、より長い距離のスピードアップに繋げていく練習を紹介します。
この練習法はどのランナーにも有効ですが、特にマラソン選手の基礎的なスピードを取り戻していくのにおすすめ。
長い距離をほどほどの一定ペース走るのに慣れたランナーは、1km前後の距離を速く走ろうとしても、リズムが染み付いて思うようにスピードが出ない事も多く、まずは200m程度の距離で速い動きを作ってからの方が身体が動きやすく感じるはずです。
トラックを想定したメニューですが、今回紹介するのは2種類程度の距離の組み合わせなので、良いコースがあればロードでも可能です。
(200mX2+400m)X4~5セット
200mを1500mレースペースで2本走り、同じスピードで400mを走ります。つなぎは走った距離と同じだけジョギング。
400mの部分がきついですが、200mを挟む事で力みが取れてくるような感覚でできます。
この形の練習は「ダニエルズのランニングフォーミュラ」でも登場しますが、アメリカのマラソン選手であるライアン・ベイル選手が取り入れているのを参考にしました。ベイル選手は4月のロンドンマラソンで2時間10分の自己ベストを出してから短いオフをとり、2ヶ月後の1500mで3分43秒(自己ベストには僅か1秒届かない)という好記録で走りました。
マラソン選手が短い距離のスピードを取り戻すのに適した練習と言えそうです。トータル距離もそれほど長くないので、スパイクの履きならしにもいいと思います。
バリエーションとしては、400mの部分を600mにしてよりスピード持久力を伸ばす事もできます。
200mX10(rest 200m jog)+1000m
先に200mのインターバルを1500mレースペース程度で走り、その後400mジョグか2〜3分休憩をとり、ほとんど同じくらいのペースで1000mを走ります。
これはかなりきつい強度になるので、600mを過ぎた所で身体の強張りを感じてくると思いますが初めは200mのリズムで走りやすく感じるはずです。
全力に近い1000mのペースが上がってくると、レースの序盤の入りやラストスパートでもかなり自信がついてきます。
これだけでは練習全体のボリュームが少ないので、豪州のトップ選手が集まるメルボルントラッククラブでは、さらにプラスして600mX10を追加して行ったりしています。さすがにこれはハードかとは思いますが、余裕があったらインターバルやペース走を少し追加するのは有効です。
400mX10(rest 200m jog)+1000〜2000m
距離が伸び、長距離のリズムの延長でできるメニューです。学生時代、5000mレースの準備でよく行いました。
400mを5000mレースペース程度で走った後十分に呼吸を整え、400mと同じか少し速いペースで1000mを走ります。
長距離レースのロングスパートのイメージトレーニングにもなります。
10000mのリズムを意識したい時は、プラスを2000mにする時もあります。全力に近いペースで2000mを走ると負荷が強過ぎるので注意しましょう。