今回はぼくが何度も読み返す珠玉のランニング本を紹介していきます。
ここで紹介する本は日本語訳された海外本が中心で、日本のランニング本に比べると情報量が多くやや敷居が高く感じるかもしれませんが、どれも世界中で読まれているランナーにとってのバイブル的な本ばかりです。もちろん日本でできた本にも面白いものはあります。
よりランニングを深く楽しみたいという人は、ぜひ一度手にとって読んでみてください。
- 1. ランニングタフ
- 2. 中長距離ランナーの科学的トレーニング
- 3. リディアードのランニングバイブル
- 4. ランニング事典
- 5. ダニエルズのランニングフォーミュラ
- 6. アドバンスド・マラソントレーニング
- 7.「走り」の偏差値を上げる マラソン上達ノート
1. ランニングタフ
陸上を始めたばかりの頃、初めて父に買ってもらったランニング本で、ぼくをランニングの世界にのめりこしてくれた一冊です。
海外のランナーの様々なトレーニングメニューが載っていおり、芝生を走るオフロードトレーニング、時間や目印を目安に楽しく自由に走るファルトレクトレーニングは、まだ見ぬ世界への想像力を駆り立ててくれました。
この本は書店では販売されていないレアな本になっています。
http://www.rikujyokyogi.co.jp/BOOK/runningtough.htm
2. 中長距離ランナーの科学的トレーニング
これもランニングタフとほぼ同時期に読んでいた本で、かなりぶ厚く情報が詰まった本です。
モスクワ&ロサンゼルス五輪1500m金メダリストで現在国際陸連会長を務めるセバスチャン・コーをジュニア時代からコーチングしていた父のピーター・コーと運動生理学者のデビット・マーティンが書いた本で、運動生理学に基づいたトレーニング理論や、コーの実際の練習メニューが記載されています。
有気的なランニングから無気的な強度の高い練習まで1年を通して様々なペースで走り、筋力トレーニングやストレッチも含めた”マルチティアトレーニング”という考え方は陸上競技中・長距離のトレーニング理論を一歩先の次元へと導いていきました。
特にトラックランナーは絶対読み尽くしておきたい一冊です。
3. リディアードのランニングバイブル
1960年ローマ五輪・1964年東京五輪で中長距離界に旋風を巻き起こした空飛ぶキュウイ(ニュージーランド人の事)はアーサー・リディアードの革命的なトレーニング理論によって生まれました。
ぼくがリディアード本を購入したのは社会人ランナーになってからですが、リディアード方式の歴史は古く、今なお信奉するランナー・コーチも多いです。
あの高橋尚子選手を育てた小出義雄監督も 「今でも一日一回を開く」と語っていたそうです。
リディアードといえば800mの選手でも基礎作り期間にはマラソンランナー並みに走りこむ「マラソンコンディショニングトレーニング」が有名ですが、ぼくはそれ以上にこの頃からマラソンランナーにも短距離のような動き作りやスプリント練習でのフォーム改善を重視していた事に感銘を受けました。
またリディアードもクロスカントリーの重要性を力説しています。
今読んでも、古いようで新しいリディアード理論から学ぶ事は無限にあります。
この本に載ってある走り込みメニュー例はシリアスランナーにとってもなかなかハードなものでそのまま取り入れるのはあまりオススメしませんが、故障の対処法や栄養、レースの戦術まで幅広いランナーの疑問や悩みへの回答を与えてくれるはずです。
4. ランニング事典
ぼくの持っているランニング本の中で最もページ数が多く分厚くランニング本です。
まさに全てのランナーの”事典”と言える本で、ぼくが故障した時の対処法もほとんどこの本に書いているものがベースになっています。
また著者のティム・ノックスは南アフリカの科学者で、 ダーバンという都市で毎年5月末頃に開催されるコムラッズマラソンという伝説的なウルトラマラソンについても多くのページが割かれています。
ウルトラマラソンを目指すランナーはこの本読んでコムラッズマラソンの情熱に触れてみてください。トップランナーの具体的な練習メニュー例も記載されています。
・ ランニング事典
5. ダニエルズのランニングフォーミュラ
リディアード本と並んで、世界で最も読まれているランニング本。
著者のジャック・ダニエルズは運動生理学者かつ50年以上のキャリアを持つランニングコーチで、メキシコ五輪1500m銀メダリストのジム・ライアンを指導し、現在も数多くのランナーのコーチやアドバイザーとして活躍しています。
この本の最大の功績は、誰でも簡単に練習ペースを計算できる「VDOT表」によってトレーニングメニューの体系化に成功したことです。
VDOTの計算はコチラから。
Jack Daniels' VDOT Running Calculator | Run SMART Project
例えばマラソンのベストタイムを記入してみてください。推奨されるトレーニングペースを提示してくれます。
またダニエルズの特徴として、下りを走らずに上り坂の練習ができるトレッドミル走の有効性についても詳しく書かれています。
本に記載されている練習メニューはやや複雑で、IペースやMペースといった表記は見慣れないと少し混乱してしまうかもしれません。また元はアメリカの本で、キロではなくマイルがベースになっているので1.6kmや2.4kmといった一見中途半端な距離が多いのも見づらい原因の一つです。
細かい数値を気にするのではなく、練習メニューの目的を理解しましょう。
最近発売された第3版ではマラソンプログラムや高地トレーニングのページが充実しています。
6. アドバンスド・マラソントレーニング
ダニエルズ本と同じく比較的最近日本語訳版が出た本で少し雰囲気が似ている感じがします。
著書が元米国五輪代表のマラソン選手という事もあって体験談も多く、こちらの本の方がよりマラソンランナーには共感しやすい内容になっています。
タイトルどおり広い意味で”ランナー”(800m~マラソン)向けなのがダニエルズ本、よりマラソン選手向けなのがこのアドバンスドマラソントレーニングと言えるでしょう。
具体的な練習プログラムの他にも、簡単なストレッチや筋トレも写真付きで掲載されており、取り入れるべき理由も説得力があってやる気を呼び起こしてくれます。
7.「走り」の偏差値を上げる マラソン上達ノート
東大卒最速ランナー・松本翔さんのマラソン本。
市民ランナー向けの指導の参考に購入したのですが、非常に読みやすく、シンプルに走るために必要なポイントがまとめられていて、ぼく自身にもとても役立つ内容になっています。
トレーニング法に詳しい人にとっては、全体的に目新しい事は書いてないようにも思えるかもしれませんが、読み返すと良さがわかってきます。
対象はサブ3.5目標からですが、距離走やペース走といったポイント練習の意識、レースの準備やケアと、タイムを目指すマラソンランナーに必要な事はこれだけで十分まとめられていると感じました。
ガチアスリート向けの専門用語もあまり出てこないので、4~5時間くらいのランナーが読んでもわかりやすく参考になると思います。優しい色づかいや紙の質感も好きです。
(最後に)
トレーニング理論は時代によって変化してきました。また自分自身の身体も反応も年を重ねるごとに変化していきます。
常に学びながらも、自分の身体の声に耳を傾け、一つの理論に固執しないように注意しましょう。