まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

エッジの完成系、METASPEED EDGE PARIS(メタスピードエッジパリ)レビュー。

今回は最新レース用スーパーシューズとなるMETASPEED EDGE PARIS(メタスピードエッジパリ)レビュー。

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MSエッジが遂に覚醒?エリートランナーの好記録が続出

 

自分は2つのタイプの厚底シューズを選べるメタスピードシリーズを使い始めてからは地面の接地感があり、踵から転がすような接地を想定して作られていたエッジを愛用していましたが、大半のエリートランナー(ほぼ9割)がスカイの方を使用しており、今のままの選択でいいのかという迷いもありました。

 

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2時間10分→2時間6分台と大幅に飛躍したフェリックス・ブール選手。

そんな時、2023年秋頃にMGCの川内優輝選手を初めアシックス契約選手がプロトタイプ(試作品)のエッジ新作と思われるシューズを使い、次々と好成績、自己ベストを更新。

遂にエッジの完成系ができたのかと、期待と安堵感が混じったような気持ちで発売を待ちました。

(結局かなり発売は引っ張られ、日本のマラソンシーズン終盤となる3月中旬に登場)

 

 

新素材FFブラストターボにより厚底X軽量化を実現

 

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今回の最大の目玉としては、新素材「FFブラストターボプラス」の登場で、高反発に加えて更なる軽量性を実現。

計測してみるとシリーズで一番軽かった初代メタスピードエッジとほぼ同等の190g付近(27.5cm)。

 

過去のシリーズと比較すると、初代メタスピードエッジが踵35mm/前足部27mm(190g)→エッジプラス39/31(210g)→エッジパリ39.5/34.5(190g)と最新作のスペックの高さがわかりやすいです。

※厚さは独自調べでメーカー公認ではありません。

 

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(この黒と黄色の部分は素材が違うわけではなく、この辺に体重をかけると1番力を発揮できるポイントのようです)

数値を見てもわかるように、特に前足部の厚さが増しており、今回はエッジシリーズの特徴であった踵と前足部のドロップ(高低差)が少なくなってスカイと同じになりました。

エッジはシリーズ毎に全く別物に変化を遂げており、評判の良かった初代スカイの使用感に近づけようとしているのではないか?という意図が感じられます。


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(写真は100km程度使用したもの)

一方でこれまでのエッジシリーズと同じく、前足部接地の重要性はマイルドにされています。

今回も踵の耐久性を高める補強がスカイより長くなっており、自分もリアフット(踵)接地なので安心です。

ただ、よりオーバーストライド気味で振り出しが大きい右足は削れが大きくなっており、やはりミッドフット(中足部)接地付近がこのシューズのスイートスポットなのではないでしょうか。もう少し走りをコンパクトにしたい所です。

ある程度使用した段階ではなんとも言えない所ですが、反発を落とさず軽量化を目指した部分で耐久性は少し低下しているかもしれません。

 

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(右は初代カーボンシューズのメタレーサー。それほど厚くなく今でもトラック練習で愛用するエリートランナーもいます)

あとは踵のソールが細くなっているのみ地味に注目ポイント。メタスピードシリーズは初期は踵周りを広げて安定性を高めていましたが、自分のように踵からベタベタ付く走りだと余計足運びが重たくなってしまうような感覚があり、薄底やメタレーサーくらいの細さの方が接地しやすく感じていました。

 

 

アッパーの履き心地はさらに向上していました。以前はレースシューズとして使っていたソーティやターサーシリーズに近いようなスッキリした足のフィット感になっており、妙に硬くてつま先が詰まって痛くなったりという事はありません。

普段通りのサイズ選びでOKです。

 

 

これまでで一番使いやすくて、気持ち良く速く走れるメタスピード

 

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エッジ愛用者としては前足部の厚みが増し、反発が向上して使用難易度が上がったのではないかという懸念はありました。

実際レースペースのスピードで使ってみると、そのような懸念はすぐ無くなりました。

 

分厚い前足部が大変乗りやすく、踵から入ってもスムーズに潰れて反発が返ってくるため、今までのエッジシリーズのように転がすようなイメージでリズムに乗って走れます。

 

前に使ったスカイプラスはしっかり前足部に体重を乗せて押し潰すパワーが無いと前に進みづらかったので、自分のフォームではやや扱いづらさを感じていました。

 

接地の感触はこれまでより柔らかめで、反発はしっかりあるのですがあまり脚にダメージがくるような衝撃は感じにくく、そこに軽さとアッパーのフィット性も相まって、自分で動きをコントロールしながらシャープに足を回していけます。

 

もちろんきちんと高反発厚底シューズなのですが、個人的には昔の薄底シューズを使ってスピードを出すのが楽しいという感覚にかなり近づいたように思いました。

 

履く前は”新素材による更なる反発向上、高性能”をイメージしていましたが、”今までで一番使いやすい、履いてて気持ち良いランナー目線の厚底シューズ”という印象に変わりました。

 

そういう意味ではとてもアシックスらしく、2021年から始まったメタスピードシリーズ、特にエッジは今回で”一つの答え”に辿り着いたのではないかと思いました。

 

 

後半は柔らかさとどう付き合うか、技術も必要

 

実際レースで使用し、初戦のふくい桜マラソンではほぼ単独走でリズムを刻んで2時間20分台で3位入賞、3ヶ月後にはゴールドコーストマラソンでは35km以降失速してしまい自己ベストに13秒届きませんでしたが好成績を収めることができました。

 

すぐにレースで結果が出せる扱いやすいシューズではありますが、やはり42.195kmを全力で走ってみないとわからないこともいくつかありました。

 

まず軽量でスピードは出しやすいものの、極端に反発が強いわけではなく、うまく体重が乗れば後は勝手に進んでいくというタイプのシューズではないため、自分の足のリズムを保つ事が何より大事だと感じました。

 

そして後半消耗してペースが落ちてくると、この柔らかさが結構効いてきて、丁度良い所に接地して力を地面に伝えづらくなり、身体がブレて前に進まなくなってきます。

 

この点においては前作のメタスピードエッジプラスの方が硬さがあるので後半パワーが落ちても粘りやすいと思った部分はありました(一方で着地時の脚のダメージは厳しく感じましたが)。

 

自分の場合はより体幹強化や、もう少し接地時間を短くするためのオーバーストライド改善ができると良いのかなと感じています。

 

よって今までのエッジシリーズと比較すると、長い距離で走りが崩れ始めてからはよりテクニック、シューズの履きこなしが重要になってくるのではないかと思っています。

 

 

まとめ

 

○反発、軽量性、クッション、フィット性

-安定性、耐久性

△価格

 

評価...A+

 

トップランナーからの評判も非常に高くなったメタスピードエッジパリ。

全てが高水準かつ、良い意味で尖った部分も少ないため、非常にランナー目線の走って楽しいシューズに仕上がっています。

とは言え、やはり厚底を使う技術もしっかり必要だと感じるので使い込んで走りを磨いていきたいです。

自分に合った厚底選択に迷いもあったのですが、ようやく信じて練習の成果を全てぶつけたいと思えるシューズに出会えました。

 

これで結果が出なかったらシューズのせいにはできないと思って、次のマラソンシーズンはPBを連発したいです。

 

▷METASPEED EDGE PARIS

 

▷新たにパリ五輪カラーも発売されました。

 

↓前作のエッジプラスも安定感があって人気でしたが、エリートランナーには何かが足らなかったのでしょうか...

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