まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki Marathon Blog マラソンランナー&プロランニングコーチがランニングをもっとディープに楽しむ情報を発信。 Marathon 2:18:59 高知龍馬マラソン、おかやまマラソン優勝

メタスピードエッジレビュー【超高速スーパーシューズ】

今回は、お待たせしました厚底カーボンプレート入りのMETASPEED EDGE(メタスピードエッジ)レビュー。

 

春からTRY!ASICS!のアンバサダーの活動をさせていただく事になって本格的にカーボンプレート入り厚底シューズの練習に取り組み、一度マラソンをしっかり走ってからレビュー記事をまとめたいと考えていた所、時間がかかってしまいました。

 

アシックスは面白い事に、日本人が大好きな”ポケモン方式“(2つのうちから好きなバージョンを選べる)で最新のスーパーシューズを発表してファンを驚かせました。

2種類のうち、ピッチ走法向けのシューズが今回紹介するメタスピードエッジ(以下MSエッジ)です。

 

 

 

厚底の長所と、従来のレーシングシューズの使用感の融合

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厚さは踵29mm、前足部21mmとメタレーサーと同じく前足部を薄めにしており、これによりしっかり地面を蹴るような接地感を得られます。

これまでのレーシングシューズよりは厚く、ぼくはマラソンでもソーティマジックシリーズを使っていたので、それとはかなり差があるようには思いますが、もう少し踵が厚いターサーシリーズとは大きくは変わらないように見えます。

 

薄底シューズやメタレーサーの大きな違いは、やはりバネのような反発力

「FFブラストターボ」という高反発素材がかなり効いており、弾むように走ることができます。ソールの柔らかさもあり、初めはマラソンペースくらいの練習で長時間走るのは走りのコントロールが難しいと感じました。

 

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その他にも、主流の厚底シューズの船のような形状と比べると、つま先上がりの角度も緩やかで従来のレースシューズや、新しいエナジーセービングシリーズの中でもクセの無い履き心地のエボライドにも近く見えます。

これも薄底シューズのようなダイレクトな接地感に繋がっていると思われます。

 

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重量は約190g(27.5cm)と、カーボン厚底としては驚異的な軽さです。実際かなり軽快に足を回す事ができます。

 

 

足を入れてのフィット感。つま先が狭め。

 

足を通してのフィット感に関しては、つま先がかなり狭く感じます。

ぼくの場合は少し大きい右足の親指の爪が確実にやられてしまうので、28cmを新しく購入しました。

サイズを上げると今度は横幅は少し緩め。

踵はメタレーサーよりは締まりが良く、アシックスらしくアッパーの完成度は決して低くないものの、ソーティシリーズのまるで自分の足のために作られたような、職人の域に達した完璧なフィット感には及ばないと思いました。

ぼくがアシックスシューズでサイズを変えているのはメタスピードエッジ(スカイ)のみです。このあたりは次回作でのアップデートを期待したいですね。

 

 

しばらくはマラソン大会が無く、トラックの準備に活用

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まず使い始めたのは4月に発売されたストライド走法向けの「メタスピードスカイ」(以下MSスカイ)。

しかし、春に出るはずだったロード大会は全て中止になってしまい、出れる可能性があったのはトラックレースのみ(トラックでは現在厚さ25mm以上のシューズの使用は禁止されている)。

 

しばらくは厚底シューズを履くメリットを感じない、むしろそのタイムや感触に振り回されて、薄底シューズ使用時の調子を見誤ってしまったらマイナスになると思って、数回しか使わず一旦封印していました。

 

その後6月にピッチ走法向けのMSエッジが登場、従来のレーシングシューズに近いという評判を聞いていましたが、とても足の回転が上げやすく、200mのショートインターバルでもかなりスピードが出しやすくなるのがわかりました。

 

ロードレース用シューズながら、むしろ初めはトラックのためのスピード練習向きだと思ったので、MSエッジをよく活用するようになりました。

 

 

意外な新スパイクとの相性

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7月に限定販売のトラック長距離用のカーボンプレート入りスパイク「メタスピードLD」をゲット。
3000m記録会の前日に初めて流し数回程度で使っただけで、なんと3000mで8分30秒(自己記録を11秒更新)を出す事ができました(しかも既に4週間前には自己記録を3秒更新したばかり)。

 

このスーパースパイクがいかに凄い性能なのかはまた改めて紹介したいと思いますが、履いて走った瞬間、“これはMSエッジに似ている、レースでもすぐ使える”と確信。レース前もロードでMSエッジを使いレースペースとほぼ同じ2:50/kmの練習もできていました。


MSエッジは、バネとクッションもしっかりありながら、従来のレーシングシューズのような接地感もあって足の回転を上げやすく、薄底と厚底両方の良い所があるので様々なシューズの行き来が容易で、最新のトラック用スパイクと似ている部分があり相性が良いという、意外な長所を発見することができました。

 

 

待ちに待ったマラソンレースでの使用

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そして10月の金沢マラソン向けてニューカラーを購入し、いよいよロードデビュー。

初戦がいきなり重要なフルマラソンという心配もありましたが、もう完全に自分の足に馴染んでおり、レースを通して全く悪い意味で気になる所はありませんでした。


初めは薄底とは違う違和感はあったので、春頃から厚底シューズ移行に取り組んできた成果も出たと思いますが、やはりMSエッジの快適さ、履きやすさは長い距離を走る上でも大きなメリットだと思います。

具体的には

・やはり下り坂では薄いシューズより安心感があった

・後半スピードが落ちてからは薄底シューズと同じ筋肉を使っているようで、クッションが邪魔に感じず走りが崩れにくかった

というのをレース中に感じました。

一方で、MSスカイや他メーカーの規定内40mmに近い厚底シューズを使っている人の感想では「ペースが落ちてからも、うまく接地すれば、靴の推進力で勝手に脚を前に運んでくれ、後半復活できる」というのをよく聞きます。

 

MSエッジにはバネのような反発は十分にあるものの、後半はそのような靴の推進力はそれほど感じられませんでした。

 

この部分が厚みを30mm弱に抑え、従来のレーシングシューズに感覚を近づけたデメリットの部分なのかもしれません。

今の所エリートランナーの間ではMSスカイの方が圧倒的に人気を得ているようです。

 

金沢では走り込み期間の不足もあり、自己記録更新までは行けませんでしたが、自分としてはMSエッジの感覚の方が気に入っており、これまでマラソンで鍛えた脚力を活かせればもっと伸びしろがあるのでは、と考えているのでこのシューズでマラソンの結果を出したいと思っています。

 

欠点の部分を考えると、”純厚底“よりは脚が残りにくい可能性があるので、ややペースを抑え、後半ピッチを上げて終われるような“イーブン〜ネガティブスプリットを意識した走り“の方が効果を発揮できるのではないかと思いました。

MSエッジを長い距離のレースで使う人はよかったら参考にしてみてください。

 

 

 

用途・適正ペース

 

カーボン入りの“スーパーシューズ”は練習ではあまり使わない方がいい、反対に高強度練習の疲労を軽減するので積極的に使うという意見等、まだ歴史が浅いのもあって有効な使い方が確立されていないようです。

 

特にMSエッジはどんな練習にも使いやすく、試行錯誤中ではありますが、3000m〜マラソンレースペース(ぼくにとっては2:50〜3:20/km)がトレーニングでは適した使い方だと思っています。

 

全力に近いペースの200mインターバルではクッションが、ほどほどのペースでの走りこみでは反発が、オーバースペック気味に感じられ、他の薄底やトレーニング向けのシューズの方が向いているのではないかと思いました。

 

アシックス公式ではターゲットをフルマラソン2時間半と男子エリートレベルとかなり思い切った設定になっていますが、現在は幅広い走力のランナーが厚底で恩恵を受けているので、個人的には3時間前半クラスなら十分扱えるのではないかと思っています。

 

3時間半を超えるランナーは過剰な反発が無くクッションのある「マジックスピード」を使い、10kmレース等短い距離で”スーパーシューズ“の世界を体験してみるのがオススメです。

 

 

ソール・耐久度

 

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最後に耐久性について。カーボンプレートシューズは高価なため(メタスピードは定価27500円)、長持ちするかも気になる所です。

どうしてもパフォーマンス重視なため、その点も犠牲にされていそうにも思うのですが、まず驚いたのが数回の使用で踵の外側部分がさけるチーズのようにボロボロと崩れてしまったことです。

MSスカイ/エッジに関わらずこうなり、どうもこれは個人差があるようで、走法が自分に合ってないのではないかと心配になってしまいました。

 

一方で、前部はかなり使ってもほとんど見た目は変わっていません。

アウターソールに採用されているASICSGRIPの雨の日でも全く滑れないグリップ力と耐久性の両立は驚異的です。

MSエッジの軽快さと合わさって、本当にリズム良く地面をとらえることができます。

 

踵の部分がえぐれるのが無視できるものなのかはまだハッキリわかりませんが、今の所性能にはほとんど影響なく、総合的に見て、前部のグリップ素材が擦り減りやすいソーティマジックよりは耐久性は上なのではないかと思いました。

せっかくなので練習でも活用しながら、長く使いたいですよね。

 

まとめ

総合評価…A

◎反発

◯軽量性、クッション

-フィット感、安定性、接地感、推進力、耐久性

△値段

 

用途…400m以上のインターバル、マラソンペーステンポラン

 

◎軽量、足を回しやすい、超スピードシューズ

◎厚底のバネと、薄底の使いやすさを併せ持つ

△つま先の狭さは要注意。フィット感悪くないがアップデート希望

△耐久性高そうで必ずしもコスパが悪いとは言えないが、もうひとがんばりお願いします

 

▷METASPEED EDGE

 

↓厚底シューズのトレーニングにはマジックスピードがオススメ

www.takemarun.com