近年はマラソンブームで本当に市民ランナーが増えましたが、全く脚に痛みが出たことがない人は少ないと思います。
皆さんはランニングで初めて走れないほど脚が痛くなったのは、どの箇所でしたか?
おそらく大半の人は、「膝」と答えるのではないでしょうか。
ぼくの陸上人生で初めての故障も膝、本格的に陸上競技を始めた中学1年の夏でした。
今回はその時の思い出をちょっと振り返りつつ、 膝の故障をの対策について書いていきたいと思います。
初めての県大会で2位、四国大会の出場も決定。その後…
7月の県体の1500mで2位に入り、有頂天になっている時でした。
「凄い、ぼくは高知の中学一年生で長距離が2番目に速いんだ」。8月の四国大会出場も決まりました。
大会の次の日、まだ県体は続いており、応援の間に春野のトラック周辺を同じ陸上部のメンバーと走った時の事は割と鮮明に覚えています。
その友達は、短距離選手だったのですが、なんでも万能にこなせて長距離転向も視野に入れており、一緒に30分走をする事になったのです。
調子に乗っていたぼくは、長距離選手の持久力を見せるため、レースの次の日のそんなにきつくないメニューにも関わらずグングンペースアップ、しかしなかなか離れてくれません。
なんとか後半引き離す事ができましたが、彼のポテンシャルの高さには驚かされました。
ぼくはゼイゼイハァハァなりながら「長距離は甘くないだろ」とドヤ顔する事には成功しました。
そして、次の日、膝が痛くて走れなくなってしまったのです。
次の日も、また次の日も。強い負荷のかかった大会の次の日にムキになって頑張ってしまったのが原因だったのではないかと思います。
8月の初めての四国大会はどうしても諦め切れず、父にテーピンググルグル巻きにしてもらって香川の陸上競技場まで行きましたが、アップのジョギング数分で痛みが発生し、当日欠場を決意しました。
ぼくは全く走れなくなり、秋になってなぜか運動会の応援団に入る事になってしまい、居残りで遅くなるからと陸上部にも行かなくなってしまいました。
なんとなく面白くなり、部活をやめてしまうようなパターンです。
しかしその時、流されるように深く考えなかったのがよかったのかもしれません。
約1ヶ月以上、ぼくはほとんど走らず、いつのまにか痛みは消えていました。
復帰となったタイムトライアル。駅伝で走る距離と同じ2kmだったかな…。
まだ長距離選手のプライドも残っており、復帰して自信もあったのですが、見事長距離転向して練習も積んでいた友達に負けてしまいました。
まさに継続は力なり。負けた悔しさもあり、友達が強くなった嬉しさもあり、復帰できた嬉しさも混ざった複雑な心境でした。
その後順調に回復、そして成長していき、1年生エースにも返り咲いて高知市の駅伝では区間賞を獲得し、当時のチームにとっては悲願であった県駅伝進出に貢献できました。
ひょっとしたらこの故障から無事復活できた事は競技人生の分岐点だったかもしれません。
膝の故障は初心者病なのか?
さて、思い出話はこの辺で。
太腿の近くが痛くなるのは大腿四頭筋腱付着部炎、膝の下側が痛くなるのは膝蓋腱炎の可能性が高く、その箇所を押すと強い痛みがあったり、膝の曲げ伸ばしをするとギシギシと音が鳴ったりする事もあります。
ぼくの15年以上の陸上キャリアにおいても最も完治に時間がかかった故障の一つですが、この後から今に至るまで膝を走れなくなるまで痛めた事はほとんどありません。
確かに膝の故障はランニングを始めたばかりの人に起こりやすいです。
まだランナーとして路面からの衝撃に耐えうる身体ができてないうちに過度なトレーニングを課した事で前腿の筋肉が受け止め切れなくなり、膝に多大な負担がかかってしまうのでしょう。
中学生には発育期に起こり易いオスグッド病というのもあり、ぼくよりもっと慢性的な膝の故障に苦しむメンバーもいました。
ですが、膝をサポートする大腿四頭筋は走り込みで鍛えやすく、成長と共に骨もしっかりしてくれば膝は頑丈なのでそう簡単には痛めなくなります。
ではある程度ランニング歴も長く、フルマラソンのような長距離レースも複数回完走できるようになったにも関わらず、膝を故障してしまい走れなくなった社会人ランナーは軟弱なのか?
そうではありません。それだけ膝を酷使したという事です。
ぼくの知っている限り、そのようなランナーの大半が、痛くても脚を引きづりながら、時には痛み止めも服用してランニングを継続しようとします。
しかし膝への負担はとても技術でかばえるようなものではありません。素直にダメージを蓄積し続けます。膝が痛くなると階段を上り下りや、ちょっとしたしゃがむ動作等、日常生活でもよく使う非常に大事な箇所であるというのがわかると思います。
膝は我慢強く、真面目で働き者。その膝が悲鳴をあげているというのは、一体どれだけ無理をさせたのか。
過剰労働は止めさせ、十分な休暇を与えてあげるべきなのです。
また他の箇所の故障明けに焦って量や質を高めた時も注意が必要です。
筋力が落ちていたり、知らず知らずのうちにフォームのバランスが崩れていたりするからです。
他のケースとしては、腸脛靭帯炎や鵞足炎は上級者でもよくある故障で、O脚やX脚が原因である事も多いです。
また加齢により起こり易い変形性膝関節症、半月板損傷といった症状については専門家のアドバイスをきちんと聞き、場合によっては手術の必要がある事もあります。いずれにせよ慢性的な膝の痛みをかばって走るのはどれだけ恐ろしい事かよく考えなければいけません。
対策について
日頃の対策としては、
・アスファルトの下り坂の走行距離は抑える
・疲労抜きに平坦な土グラウンドのジョギングも行う
・しっかりクッションとサポートのあるシューズを履く
・急に距離を増やしすぎない
・大腿四頭筋のストレッチをしっかりしておく
・定期的に筋トレを行う(大腿四頭筋だけでなくバランス良く)
・練習後違和感がある場合や、用心したい時は必ずアイシングを行う
・タイガーテール(マッサージスティック)やフォームローラー を使ったセルフマッサージで大腿四頭筋をこまめにほぐす
などが挙げられます。
スティックは大腿四頭筋のケアには手軽に使いやすいです。学生時代はこんなアイテムはありませんでしたね…。
そして真面目で正直で働き者の膝が痛みのサインを出した時は、とにかく労ってあげる気持ちを忘れないようにしてください。くれぐれも“この根性無し!”などといった罵声を浴びせたりはしないように…
↓社会人になってからの数少ない膝の故障の経験について。痛めた箇所によっては自転車は負荷が強いので注意です。