まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

蘇る伝説、ハイパースピードレビュー【ストレスフリー、低価格】

今回は新しく登場したSPEEDシリーズの末っ子、ハイパースピードについて解説していきます。

 

 

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低価格・リニューアルした定番シリーズ

 

カーボンシューズのトップモデルであるメタスピードスカイ&エッジ、厚底で前足部のみカーボンが入っているマラソンサブ3対象のマジックスピード、そしてサブ3.5〜サブ4対象の廉価版モデルがこのハイパースピードという事になっています。

 

最近は厚底系の台頭し最新シューズの高額化が進んでいる中で、このハイパースピードの売りは定価9000円台というリーズナブルさ。

 

またこの「ハイパースピード」という名前は海外陸上に詳しい人ならご存知かと思いますが、以前から海外用のレーシングモデルの定番で、全米記録保持者のライアン・ホール選手が愛用していたシリーズとしても有名です。

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ライアン・ホール選手のベスト記録はハーフマラソン59:43、マラソン2:04:57(ボストン)

 

その定番シリーズがリニューアルしたという事で、従来のクラシックなレーシングに近い感覚で走れるシューズというメッセージが読み取れます。

 

ぼくもハイパースピードシリーズは以前から履いてみたいと思っていたのですが以前の物は日本では販売されておらず、今回の新生ハイパースピードをとても楽しみにしていました。

 

見た目的にも適度な厚みと最近のアシックスシューズの特徴であるつま先上がり構造はありますが、シンプルですっきりしたデザインが好印象を持ちました。


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重量(27.5cm)はメタレーサーより僅かに重い216g。240g弱のマジックスピードよりは明らかに軽く感じます。

 

馴染みやすさ、シンプルだからこその快適さ。


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海外で人気のモデルという事で、ひょっとしたらフィット感に問題があるのではという心配はありましたが、実際履いてみると、ヒールカウンターはしっかり、アッパー生地もどこかで履いたことあるような馴染みやすい感覚。

 

むしろ学生に人気のライトレーサーシリーズといった日本人向けシューズにかなり近い履き心地のではという印象さえ受けました。

 

走ってみると、すぐにその快適さに気づきます。

従来の薄底シューズ感覚で走れるので、インターバルやテンポ走に適していますが、個人的にはマラソン練習で定番の速いロング走(3:30〜4:00/km)ペースで走る時に前足部の適度なクッションが最適化されたように感じられ、リズムよく力を抜いて走れました。

 

靴に走らされるような反発は全然無くストレスフリー、長い距離において、シューズの機能がシンプルだと自分の走りに集中しやすいというメリットがあることに気づきました。

 

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ソールはマジックスピード(右)とほとんど同じに見えます。

耐久性はありそうですが、地面をしっかり掴むようなグリップ力はそこまで強くないと思います。

ハイパースピードは底が厚くなく、適度な固さがあるので、濡れた路面でもそれほど不安定とは感じませんが、雨の日にスピードを出すならよりダイレクトな接地感のターサーシリーズの方がいいかも。

 

メタレーサーに酷似

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使っていくうちに、見た目、重量、使用感がアシックスの初代カーボンプレートシューズである「メタレーサー」と非常に似ているのがわかってきました。

 

1kmX8のインターバルトレーニングで4本交代で使って比較テストしてみた所、タイム的(3:05前後)にもほとんどメタレーサーと遜色ありませんでした。

定価2万2000円でカーボンプレートが入っているとメタレーサーとほぼ同じ性能を持っているなら相当に優れたシューズという事が言えそうです。

 

メタレーサーの方がプレートの反発とクッションの弾力性があり、またソールもより雨でも滑りにくいもの(アシックスグリップとウェットラバースポンジ)を採用しているので、最上級モデルらしい細部の作り込み、こだわりが随所に見えます。

 

ただ、ハイパースピードもアッパー全体のフィット感、高速走行時の軽量感はメタレーサーより良いと感じたので、スピード練習では必ずしも劣っているとは思いませんでした。

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従来のアシックスらしいしっかりしたヒールカウンターがあり、フィット性は高いです。メタレーサーはほとんどヒールカウンターがなくゆったりした履き心地。

 

ハイパースピードはシンプル・低価格、脚離れが良く自然にピッチが上がっていくという部分では「エボライド」とも似ている部分があると思いましたが、エボライドの方がしっかりクッションがあるのでより万人向けと言えます。

 

 

気軽にスピードを出す楽しさを実感できる

ハイパースピードの欠点としては、極力機能をシンプルに絞っているため、クッションによる脚が守れている感、厚みから生み出される反発性はあまり無いことです。

 

後半脚が疲れた時や、それまでの練習で疲労が蓄積している時、厚底シューズに慣れて脚の衝撃への耐久性が十分にできていない場合は直接的なダメージを感じやすいのではないかと思います。

 

ガイドソール機能の自然とピッチが上がっていく機能を適度に感じつつも、自分の脚で走るランニングの楽しみを存分に味わえるシューズで、ぼく的には今まで買った中でも上位に入るお気に入りシューズになりました。

 

やや玄人向けとも言えるかもしれませんが、低価格でクラシックな薄底感覚を気軽に体験できるので、週1度はスピードトレーニングを行うランナーにはぜひ一度試してもらいたいシューズです。

 

まとめ 

評価…A

用途…インターバル、テンポ走、ファルトレク、ステディペース(3:00〜3:30/km)

◎価格、フィット感

◯軽量性、接地感、安定性

-クッション、反発、グリップ、耐久性


速いペースの練習向け。ターサーシリーズと同じくらいの立ち位置

※SPEEDシリーズの説明ではマジックスピードの方が走力が高い人向けとなっていますが、個人的には対象レベルに差は無いと感じました。

 

▷HYPER SPEED(ハイパースピード)

HYPER SPEED(ハイパースピード)レディス

 

 

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