まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

HYPER RACER レビュー【20mm:トラックレース規定内薄底シューズ】

HYPER RACER(ハイパーレーサー)レビュー。

 

 

待望の薄底新シリーズ。トラックレース規定内20mm

 

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厚底カーボン全盛時代、さらにトラックルールの更なる改正(2024年11月から25mm以内→20mm以内に)の影響をモロに受け、クラシックな薄底シューズが次々と廃盤になっていく中、新ルールに対応した面白いシューズが誕生。

 

古来からの薄底シューズファンとしては嬉しいニュース、価格も1万円付近と手頃とあって早速購入してみました。

シンプルなデザインも好印象。カラーは白と黒の2種類でしたが、真夏だったのでスッキリした白をチョイスしてみました。


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アウトソール内側が捻り防止で固めてあるのがソーティやターサーシリーズに近く見えます。

ミッドソールには昔からあるフライトフォームを使用しているのも薄底シューズらしい。


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1番のセールポイントであるトラックで使用可能の20mmの文字が踵部に刻まれています。

踵のクッションがそれなりにあるように思えます。


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このように見た目では、25mmに近いソーティマジックLT2より厚く見えます。

世界陸連の規定ではインソールを含めた計測なので、ちゃんとした理由はあるのかと思いますが、クッション面に関しては"より足に優しく"というこのシューズの目的が見えてくるのではないでしょうか。

重量も27.5cmで約190gとソーティ(170g付近)より少し重くなっています。

 

 

使ってみた感想。良くも悪くも練習向け


スピードを鍛えるための200~400mインターバルを中心に使ってみました。

確かに硬さと、地面に近い感覚はわかるのですが、適度なクッションと程々のグリップ力で自然に走れます。

前足部の屈曲性が高いのもあって、ペースを落としても割と走りやすい。

従来のレース用薄底シューズは厚底と交互に履くと負担が大きく違和感を覚えやすかったのですが、この優しい走り心地ならうまく使い分けれそう。履き心地もクセが無く良好です。

 

やはり練習用、走り始めたばかりのジュニア競技者向けというコンセプトが使用感からも見えてきました。

 

一方で、たまたま雨で路面が濡れてる機会に使うことが多くなったのですが、結構滑ります

また靴ヒモも何度か解けてしまいました。

ヒモは自分に合うものに変えればいいのでは、と思うかもしれませんが、濡れた路面のグリップとヒモにこだわりが感じられない所からも、このシューズのメッセージ性は伝わってきます。


ある程度のレベルに達したら、高速スピードには対応していない。物足りなくなったらもっと良いシューズを買ってね、という事だと思います。

 

かつてのトップシューズだったソーティシリーズのクオリティには及ばず、少し前までガンガン練習やレースで使ってきた者としては期待と違った部分はありました。

 

買う前から練習向けシューズというのもなんとなくわかってはいましたが、つい比較してしまうのが悩ましい所。

短距離選手の練習用だったり、気軽に使える薄底シューズとして研究すれば使い道はありそうで、実際陸上を始めたばかりのジュニアランナーにはこれを使って色々な練習をやるのもいいのではと思いました。

 

しかし自分のようなそれなりにキャリアを積んだマラソンランナーの場合、使い道に悩む部分もあり、今持ってるシューズで十分、あれこれ履き分けるのはかえって面倒だなと思ってしまいました。

 

まとめ

評価...C

○価格、フィット性

-グリップ、重量、耐久性

△クッション、反発

 

個人的にはかなり微妙な評価になってしまいましたが、薄底ファンとしては新シリーズを応援はしたい気持ちです。

使い道は色々ありそうで、良くも悪くもコンセプト通りのシューズだと思います。

このシューズを一言でまとめると、「はじめての薄底」。

 

▷ハイパーレーサー