今回はクールダウンジョグについて解説していきます。
クールダウンジョグは単にスピード練習でダメージを受けた身体をほぐすだけでなく、精神的なリラックス、追加の走り込み効果と、トレーニングには欠かせない要素の一つになっています。
クールダウンジョグの効果
強度の高いトレーニングやレースを走った後は、ウォーミングアップのジョグと同じくらいの時間、疲労回復を助けるためのクールダウンのジョギングも行います。
ぼくはこのクールダウンジョグの時間が好きで、ポイント練習やレースを終えた達成感、余韻に浸りながら、自分が気持ち良いと感じるペースで走ります。
仲間と走った場合は、練習やレースについて語り合ったりするのも楽しみの一つですよね。
トラックで練習やレースをした後によく行うのが、内側の綺麗な芝生の上を裸足でジョギングする事で、普段のジョギングではあまり使われない足裏の筋肉を刺激しつつ、リフレッシュにも繋がります。
何度か紹介している本「リカバリー-アスリートの疲労回復のために-」では、クールダウンジョグはコンピューターの正しい消し方に似ていると書かれています。電源はいきなりコンセントを引き抜くのではなく、メニューから終了ボタンを選択する事で、段階的に作業させる事ができます。
ゆっくりジョギングをする事で、乳酸はしなかった時よりもより素早く除去され、また体温や中枢神経を少しずつ平常状態に戻す事で白血球の減少を防く効果も報告されているそうです。これは免疫系のストレスを軽減させている事を意味しています。
ロング走にクールダウンは必要か?
2時間前後走るロング走の後は、無理にクールダウンジョグをする必要はありません。ロング走では乳酸が蓄積されるようなペースで走る事はほとんどなく、無理にペースを上げるより一度に続けて走る時間を伸ばした方が効果的だからです。
ハードなロング走で後半ラストスパートをして終えた場合は、軽く5〜10分程度呼吸を整えるようなジョギングを行う事もあります。
あるいは、32km走を行うなら25-30kmスピードアップ、ラスト2kmをクールダウンとするとまとめて行うのも有効です。このあたりは個人のお好みで。
追加の走り込みとして
クールダウンジョグは+αの走り込みとしての効果もあります。単純に走った分だけ走行距離がアップし、さらにきつい練習で疲労した後に行うのでより脂肪燃焼効率が高まりマラソン練習には適した状態とも言えます。
アテネ五輪マラソン銀メダリストのメブ・ケフレジキ選手は、キャリア後期は故障が増え、朝に行うメインの練習後のクールダウンジョグの時間を30分に増やし、午後は二部練習は行わず休養する等の工夫をして、38歳でボストンマラソンを優勝するという快挙を成し遂げました。
▷How Meb Keflezighi Trained to Win the Boston Marathon | Runner's World
ぼくも練習量が減る時は長めのダウンジョグを取り入れているうちに、スタミナアップ効果も実感できました。
長いクールダウンジョグはうまく活用すれば、練習の効率のアップにも繋がるわけです。
一方で、クールダウンジョグのやり過ぎは逆効果という研究もあり、トップ選手の中にもそれほどクールダウンを重視しない人もいるようです。
自分としては速いスピードを出すトレーニングをした後はクールダウンジョグをする事をオススメしますが、40分以上行うともう一つのトレーニングになってしまうので、メイン練習の後にそこまですると疲労が大きく残ってしまう事があります。
距離を稼ぐにしても30分程度にしておきましょう。
またポイント練習後あまりにも疲れている時は、フォームを崩しダラダラ長時間やるよりは、短めに切り上げた方がいいです。
クールダウン後のリカバリールーティン
特に持久系スポーツでは、“リカバリーは練習と同じくらい大切”とよく言われており、クールダウンジョグは次の練習に向けて準備の始まりでもあります。
ダウンジョグ後のルーティーンは、主に栄養補給、セルフマッサージ、ストレッチ、休息。
ぼくはボディメンテゼリーやプロテインバー等、100〜200カロリー程度でタンパク質が含まれている物を摂る事を好んでいますが、新しい研究では数時間後の食事で十分間に合うというデータもあるそうです。
夏は水分補給を重視したり、冬は温かいものをとってリラックスしたい場合もあると思います。
続いて、ストレッチ、フォームローラーやロールリカバリーを使ったセルフマッサージで筋肉をほぐします。
(↑左がロールリカバリー、モモの筋肉にはこれが最適。色々アイテムが増えてきました…)
前回ウォーミングアップ時のストレッチについて書きましたが、静的ストレッチは練習後には有効で、適切な時間行えば、精神的リラックス効果や柔軟性を高める効果はダイナミックストレッチより高いと言われています。
うまく場面に応じて使い分けていきましょう。