バルセロナマラソン振り返り。
遂に念願の欧州デビュー戦。
韓国仁川空港から14時間のフライトと、さすがに豪州遠征は大きく上回る移動時間。
大変な長旅ではあったが、当日は身体も軽く、うまく調子を整えることができた。
レースの雰囲気を目の前にして、テンションも上がってくる。よし、今日はここでベスト記録を出すぞ!
(SUIさん達ヴィクトリーツアーの皆さんのスタート地点まで移動。ホテルから1km弱程度で楽チン)
海外レースでは、前の方に並べるそこそこの記録をもった競技者ランナーはレースの10分くらい前まで身体を動かしたりできるのは普通(だと思う)。近くにトイレもあってすぐ入れた。
このあたりは日本の一般的なマラソンよりはかなりストレス少なく準備できた。
ただ並んでからは色々とカルチャーショック(?)に直面する。
直前になるとかなり多くのランナーがぎゅうぎゅうと前に詰まってきて動きにくい状態に。
ふと下を向くと何やら水が流れてきていて、よく見ると斜め前の40〜50代くらい?の男性ランナーの腰元あたりから...
さらにスタート数分前、急に後ろから男性ランナーがむりやり押しのけるような勢いで周りにドンッとぶつかりながら割り込んできた。これには近くのランナーも抗議。何言ってるかわからないが言い争いみたいになっていてカオスな雰囲気に。
そうこうしてるとバルセロナの歌的なのが流れてきた。これが終われば号砲か。
「バルセローナ、バルセロ〜ナ〜♪」
プゥーーーーーーーーーーーー
突然レース開始のブザーが鳴り響く。
えっ、曲の途中でスタート!?
すっかり虚をつかれたぼくはスタートが出遅れてしまう。
すぐにカーブもあり、近くのランナーをよけながら大外を回っていくと、だいぶ前の集団からは遅れてしまっている。
女子の先頭らしき大集団を追い抜いてからは前をおっかけてダッシュ。
しかしもう一つ前の集団はとっと先へ行ってしまった。
単独走が始まりそうになった所で、1人のスペイン人ランナー・パブロ選手が後ろからぼくにおいついてきて、何やら声をかけられた。
「2 hour 15?(2時間15分台が目標かい)」と聞かれたので、「Yes!!」と答えて一緒に走る事を決めた。やったー、これは頼もしい味方がついたぞ。
しかし序盤急にペースを上げたのと、上り坂がきたのもあってか、若干腹痛になってしまった。
我慢できないほどではないが、若干ペースを落としたい感じになり、少しパブロ選手からは離れてついていく。
ついたり離れたりしていると「OK?」と聞かれたので「大丈夫、でもちょっとお腹が痛くなっちゃった」と答える。
5kmの通過は16分21秒。
そんなに悪くはないが、2人一緒にあまりリズムに乗り切れず、ズルズルペースが落ちていく。
後ろを振り向くと、徐々に中継車(女子先頭のカメラ)が近づいてきたのがわかった。
これは、女子の先頭集団からやり直そう...。
自分に合うペースの集団が無いかもしれない事はレース前から懸念していたが、これも想定通りの展開。女子の2時間20分丁度狙いのペースは理想ではないが、気持ちを切り替えるなら早い方がいいだろう。
今回は後半勝負だ。
10km手前でゆっくりと、女子先頭、ペーサー、男子のサブエリートの大集団に飲み込まれていく。パブロさん、良いパートナーになれなくてごめん。
そこからは、ひたすら1km3:18-20/kmのペースで進む集団についていく。
今回はスペイン選手権も兼ねているので、このくらいのレベルの選手が1番多いのかな。
やはり何も考えず走れるというのはとにかく楽である。
ハイペースに挑戦できず残念な気持ちもあったが、せっかくの欧州マラソン。景色を見る余裕もありながら走れた方が楽しいじゃないか。
殆ど街中を走る華やかなこのコース。沿道の途切れない大声援が続き、距離もめちゃくちゃ近い。あまり警備の人もおらず、観客がレースに割り込もうと思ったら簡単にできてしまいそうだが(実際コースを急に横断してくる人も結構いる)、その辺も含めて大会の魅力を大いに体験。バルセロナマラソン楽し過ぎるだろ!
海外マラソンといえば早朝レースが多いのもあるが、日本と比べると観客が寂しい所もあったり、今回もそんなものだと思っていたが、さすがスポーツの本場、盛り上げるコツをわかっている。
コースの走りやすさはというと、思っていたよりはやや細かいアップダウンが多かった。
しんどいなと思う一歩手前で終わる長さの坂ばかりだったので問題はなかったが、ひょっとしたらじわじわ脚は削られていたかもしれない。
道も広く、気持ちよい直線の道が多いが、その分急なカーブも何箇所かある。
1週間前にできていた足の裏のマメが全開しておらず、カーブのたびにヒリヒリ痛む。うーん、怖いけど、なんとかこのレース一本なら保ってくれるだろう。
ハーフ通過は69分56秒。目標より遅いけど、これも想定していた展開の一つ。焦らず後半に向けて気持ちの準備。
どこで出るか、25kmあたりで行ってみるか?と考えながら走っていたが、1人飛び出してしまうと、前のランナーが全く見えないので道がわからなくなるのではという不安もあった(一応コース上に一本の線が続いていたのでそれに沿っていけば問題無かったかもしれない)。
20-25kmは16分30秒。このあたりからじんわり脚が重くなってきた。
うーん、思ったほど余裕度が無いが、このペースなら遅れそうな感じはない。
どのような状態であれ、後半ペースアップするという選択肢しかないんだ。
そう考えていたら、30km手前で丁度良い感じに前の選手がペースを上げてくれて4〜5人で集団から抜け出す事に成功。25-30kmは16分26秒。
よしよし、これからが本当の勝負開始だ!
33km付近で1番前でペースを上げ続けるドレッドヘアのラミン選手(西アフリカにあるガンビアという国の記録保持者との事)にはちょっとつけないかなという所で、集団がバラけてきた。最初に一緒に走ったパブロ選手についていく。
35km手前で、この日2本目のジェルを摂取のタイミング。自分用のスペシャルドリンクは置けないのと、前回の龍馬マラソンはうまくいった事からジェルの本数を増やしてみる事にしたが、タイツの後ろにあるポケットに手を伸ばすと右腕が攣ってしまう。
やはり消耗してるマラソン後半は、全身が弱っている...。
この痛みと疲労で後退。30-35kmは16分19秒とイメージ通りのペースアップ。
最後の7kmが大事な所だ。前からは置いていかれて単独走になりながらも体力的にはもうちょっと粘れそうな感覚。ただ右腕の痛みがきつい。
それでもそんなに距離が無いのでなんとかなるとは思っていた。このままうまくいけば自己ベスト、上げてるので少なくとも2時間20分切りは堅いだろう。
しかし37km付近からか急速にペースが落ちてきた。明らかに身体が動かない。
しまった、エネルギー枯渇、スタミナ切れだ。
こうなってしまえば挽回は難しい。一気に中継車が近づいてくるのがわかった。
40km手前でペーサーが引き連れてきた女子トップのシャロン・チェリモ選手に抜かれてしまう。
あーあ、これじゃ30kmで抜け出した意味が全く無いじゃないか。
ガックリとペースダウン。35-40kmは17分00秒と明らかな失速。40kmが2時間13分30秒と20分切りがギリギリ、この勢いでは厳しい。
全くペースが上がらず、フィニッシュのバルセロナ凱旋門が見えくるのを期待したがこれが直前までは全然見えない。
42kmを通過して、もう後先考えず全力ダッシュ。最後の奥の手だ。
ぼくなりにヘロヘロの状態で最後もベストを尽くしたが、タイムは2時間20分14秒。
今回は記録を狙うレースだったが、結果的に勝負重視だった龍馬マラソンと同じくらいのペースで終盤失速してしまったのは残念。
移動時間や時差もある中で、現地での調整はうまく持っていけたし、ぼくの実力としてはそこそこのパフォーマンスではあったのかなと思う。
悔しいのは、高知龍馬マラソンからの4週間で心身の調子が完全に落ちてしまい、最高の状態に仕上げれなかった事。
この大会を選択した時点で難しいのはわかっていたが、やはり自分の全力をぶつけれなかったのは悔いが残る所だ。
競技面の細かい反省はさておき、欧州デビュー戦となったバルセロナマラソンは、期待以上に素晴らしい大会だった。
全て街中の良い所ばかりを周り、それでいてフラットで走りやすい魅力的なコース設定、密で熱狂的な大応援。メジャー大会に引けをとらない最高のマラソンだと思う。
主催者のランニング愛も感じられたし、バルセロナマラソンを選んで本当に正解だった。
中学生の頃からずっと憧れていて、ようやく実現した欧州遠征。
他にも色んな所に行ってみたい、競技面の準備も改善して次はもっと良い成績も狙いたい。新たな始まりに夢はさらに膨らんでいた。
まだまだぼくの旅は続きそうだ。
結果
2時間20分14秒(28位)
(5km)16:21/16:51/16:35/16:38/16:30/16:26/16:19/17:00/7:42
HALF:69:56-70:18
⭐︎欧州デビュー戦
⭐︎15回目のサブ2:21
↓昨年は北米デビューしました。