まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

ゴールドコーストマラソン2024レース振り返り【2時間15分ペースに挑戦】

ゴールドコーストマラソン2024レース振り返り。

 

 

前日のテクニカルミーティングで決断。

 

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レースプランが定まったのが前日夕方のテクニカルミーティング。

レースのルール確認や気象条件、ペースを教えてくれる。

この数年はハーフまで69:30付近で引っ張るペーサーがつくことになっていたので、ぼくとしては少し遅いが、風速5m程度を考慮するとここについて後半勝負という事も考えていた。

 

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しかしこのサブ20ペーサーがなぜか無くなり、代わりにハーフ67:30設定(すなわち2時間15分ペース)のペーサーがつく事になった。

ぼくの力としては少し速く、去年はこれより遅いペースで序盤からきつく15kmで失速してしまったのを考えるとかなり怖い気持ちはあったが、強風を考えると無理してでも設定がちゃんとしてる(多分)集団についていった方が得策なのではと考えた。

ここはぼくの今までのゴールドコーストの経験が活きるはずだ。

 

何より、この絶好の機会に挑戦できるということで大いに気持ちも昂ぶった。

 

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ナンバーが42とマラソンらしく縁起の良さそうな数字に。

シューズは新作メタスピードエッジパリでマラソン2戦目。新しいのが売り切れで買えなかったので200km弱走り込んだ靴になってしまった。

 

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レースは6時15分スタートのため、当日は3時起床

日本ではあり得ない早朝スタートだけど、意外と朝のレースは気持ち良く走れるんです。

いつも通りバナナ、ヨーグルト、パンは焼かなくても食べやすい柔らかいロールにした。コーヒーはエリートアップエリアで。

 

最高の状態でレーススタート。

 

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GCM公式

エリートウォームアップエリアからスタートラインに移動。参加者が多いので思わぬアクシデントがないよう早めに並び、靴紐は気になっても絶対に結び直さない。

日の出が始まる直前の、まだ薄暗い中レース開始。

 

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まずは2時間15分のペーサーにつくと言っていた、石川県勢の福田選手、開上選手をマーク。

序盤は色んな選手がいて、どこに位置どりをしていくか少しバタついたが、オーストラリアの選手が固まっている集団を発見。よし、あそこだな。

大体10人付近のほどよい集団を形成。小君良いリズムでレースは進んでいく。

PB2時間11分台のドカント選手、17分台のライドリー選手、早稲田大学に留学中というジェイク選手と強そうな選手ばかり。

 

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今回は参加者数が過去最大に増えた関係でコースの序盤が変更に。

テーマパークであるドリームワールドに向けて一旦方向を変えて走り、その後折り返してまた元の方向に進み続けるというもの。

基本的に走りやすさには大きな影響はないが、減速を余儀なくされる折り返しが増える(計2→3)のは速い記録を狙うランナーにとってはあまり嬉しいことではない。


ぼくは最初の始まったばかりの折り返しで、曲がり方が悪かったのか若干足の裏が擦れたのを感じた。

いきなりマメの予兆がでてしまったのは気にはなるが、これ以上悪くならないのを信じていくしかない。


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5km通過、15分56秒。次の5-10kmは少し上がった感じがして15分47秒。

速すぎる!ただでさえペーサーの設定がぼくにとってはギリギリのハイペースなのに、さらにそれを上回るペース。しかも思ったより向かい風は強い。

 

今回はペーサーの引っ張りが良いのか、周りのハイレベルなメンバーとリズムが噛み合ってきたのか、驚くほどスムーズに身体が前に運ばれていく。

 

昨年は序盤ですぐ余裕が無くなり脱落したため不安もあったが、10kmを超えたあたりで今日は絶好調なのを確信した。

 

一緒に走っているのは自分より持ちタイムはだいぶ上の選手ばかりなので、同等の走りができているのは大変気分が良い。何か今日は自分が一段階上のステージに進めるような予感がする。

とは言え、これ以上ペースが上がるとついていくのは難しく、中盤は直角も多くやや走りにくくなるので気が抜けない。給水も呼吸が止まりそうになり、なかなか喉を通りにくい。

 

10-15kmは15分59秒。依然設定を上回るペースだが、少し落ち着いて巡航速度を刻んでいく。

予定より早くここでペーサーは抜けてしまったが、次は集団にいた神戸マラソンから派遣の実力派ランナー横田選手が積極的に引っ張ってくれてペースを落とさずいけた。

 

そして遂に折り返しの18km地点に到達。やった!

ここから36kmまで追い風となるボーナスタイムだ。

 

15-20kmは15分55秒。ここでややペースアップし、少しついていくのにきつさを感じていた。

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よし、ここだ。序盤の向かい風は集団の力を利用してハイペースでも我慢する、ここまでの作戦は十分に達成することができた。

 

ここからは次の段階に移る。もうちょっとこのメンバーと一緒に走ってみたかったけど、今日が30kmのレースで終わってしまったら本当にもったいない。

 

追い風を利用して自分のリズムで単独走だ。ハーフは大体67分10秒付近で通過。2倍にすれば2時間14分台前半、ぼくの力からすると既に相当な高速ペースである。

 

20-25kmは16分05秒とここまで作ったリズムを使ってまだまだ良いペース。だが、本当の勝負はこれからだ。

 

単独走の中、PB更新ペース


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ペースを落とすと、今度は先に離れて粘っていた後ろの選手に追い抜かれる展開になるが、ぼくはここでも焦らず冷静に対処。

 

後ろの選手はぼくを拾う事を励みに頑張ったのだろうが、やはり余力はそれほどなく、自分のリズムさえ崩さなければまた勝手に落ちてきて抜き返すことができる。

 

ただ、やはり一人で動きを維持するのは難しく、腕振りや足の運びが徐々に崩れてきたのを感じながらなんとかペース維持を努める。

左足のマメの痛みが少しづつ増してきたのと、前日の雨で濡れた路面がまだ若干滑って力が入りにくい。

 

25-30kmは16分50秒と思ったより落ちてしまったが、まだ大丈夫。

 

30km過ぎで一旦スタート会場のサウスポートエリアに戻り、声援が一際大きくなる。

クライマックスは近づいてきた。身体の声を聞きながら、この5kmだけは絶対良いタイムで通過したい。

 

気持ちの高揚が身体に伝わってきたのか、明らかに自分の足運びが変わってきた。

25km過ぎに後方から抜かれて良い走りを続けていたオスカー選手を再び逆転。

 

これでいい、このまま、このまま...

ぼくも34kmでガクッと身体の力が抜ける感覚が出てくる。うっ、もう少し保ってくれ。

 

30-35kmは16分16秒まで盛り返すことができた。

追い風とは言え、まさかここまでタイムが上がっているとは自分でも驚き。35kmまでの走りは、まさに全て作戦通りパーフェクト。自己ベスト更新はまず間違いない。

 

だが、よく考えてみるとこの不自然なタイムな変動は、おそらく25-30kmの距離表示が100m程度長く、30-35kmがその逆で長かったために起きた現象だった。

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ぼくはここからも前から落ちてきた選手を少しづつ拾いながらレースを進めていった。36km過ぎの折り返し地点ではぼくがいた集団の選手も好走していたがそこまで離れてはいない。

 

最後の折り返しで、再び序盤と同じ進行方向になると強烈な向かい風が襲ってくる。

終盤少し風が落ち着いてきたように感じ、ひょっとしてラストは無風というラッキーを期待したがそう甘くはなかった。

 

ここまでのオーバペースや単独走の消耗がきたのか、今回のスタミナ切れは一気にやってきた。

あまり勢いを活かすことができず急速にペースダウンしていく。とにかく我慢して身体を前に運ぶ。

35-40km、なんと18分07秒!

どんなに落ちても17分30秒程度だと思っていたのでガックリ気落ち。

 

この急落の精神状態も影響してか、ラスト2kmになってもあと一歩追い込み切れない。

後ろからきた選手にかわされる。

 

声援も大きくなり、ゴールドコーストマラソンの一番盛り上がる所で、元気も出て気持ちよくスパートできる事が多いが、今回は本当にきつくて動かない。

頭もこんがらがってきて計算できないが、これでもまだ自己ベストには届くはずだ。

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ラスト250mの看板、もうここまできたら何がなんでも全力ダッシュ!

だが、フィニッシュ地点の時計に目をやると、無情にも2時間18分50秒台の数値が。

ああ、間に合わなかったのか...。

 

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結果は2時間19分12秒30km・35km・40kmと通過の自己ベストを更新しながら、最終的にはあと13秒届かなかった。

 

今までも後半の走りがあと一歩甘かった事は多々あったが、今回は本当に殆ど手の中に掴んでいたような記録更新がこぼれ落ちていったのは悔しい。

 

レース中はどこで急落したのかはわからなかったが、確かに35km手前から一気にパワーが無くなっていくような感覚はあった。

 

振り返ってみると、怪我明けからの準備期間が短かった事や、20kmまでのハイペース、そこからの単独走で身体は思った以上ダメージを受けていたのかもしれない。

 

だが、それでも今回は自分の力を全て出し切れて、とてもスッキリした気分でレースを終えることができた。

ただ最初から苦しく15kmでレース終了してしまった昨年。

今年は35kmまでは自分の思い描いていたレースができて高知県記録ペース(2:16:33)で走ることができた。

 

この最高に気持ち良い大好きなコースを、5km15分台で走り続ける爽快感は本当に格別なものだった。

 

同じ集団にいた石川県勢の福田選手は2時間15分台、開上選手は16分台。

地方のマラソンランナーで特に開上選手は同世代。こんな強い選手と走れたこと、これからはそのレベルを目標にトレーニングを積んでいくのを想像するとワクワクしてくる。

 

夢の"海外マラソンでPB更新"はあと一歩届かなかったが、今回のゴールドコーストがぼくにとって重要な転換点となったのではないかと思っている。

 

来年は、必ずもっと強くなって帰ってきたい。

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走り終えたエリートランナーの皆さんと。

 

 

⭐︎高知発ゴールドコースト遠征2024のレポート記事はまだまだ続きます!お楽しみに。

 

レース結果

2時間19分12秒(20位)

▷METASPEED EDGE PARIS

(5km)15:56/15:47/15:59/15:56/16:05/※16:50/※16:16/18:07/8:10

HALF 67:10-72:02

※25-30kmと30-35kmは100m程度ズレ?

 

☆セカンドベスト

☆コースベスト

☆30km、35km、40km通過ベスト

 

↓不完全燃焼となった昨年のレース振り返り。

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