まるランニングマガジン

まるランニングマガジン

Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

金沢マラソン振り返り。【大規模マラソンリスタート、混戦のサバイバルレース】

日本の大規模マラソン再開1発目、金沢マラソン振り返り。

 

 

f:id:takemaru-yamasaki:20211102105801j:image

今回は春からスーパーシューズの適応に取り組んで初のマラソン、選んだのはメタスピードエッジ。今まで履いてきたレースシューズとそれほど感覚が変わらず、スピードが出しやすいのが気に入った。

 

5時頃に起床し、朝食は駅で売ってあったパンとバナナとヨーグルト。補給に関しては今回はコース上にスペシャルドリンクは置けないが、ほぼいつもの通り余裕を持って準備できた。

宿泊したR&Bホテルは駅に近かったが、スタート会場からは少し離れていたので念のためタクシー移動。

 

f:id:takemaru-yamasaki:20211103202504j:plain

ランナー待機エリアにはリストバンドとゼッケンを見せて入場。うまく関係者だけのエリアができており、その後の準備や荷物預かりもスムーズ。新しい大会にも関わらず、コロナ禍対策が必要で準備に苦労していると思わせない見事な運営だと感じた。

 

 

Start-5km

 

f:id:takemaru-yamasaki:20211103210151j:image

レーススタート。

まずは周りの様子を見ながらの落ち着いた展開。

と言っても、かなり強豪ランナーが揃っており、数名が飛び出したり戻ったり入ったりを繰り返しているので、先が読みづらい展開。

 

しかしぼくは、そのうち集団は自然と落ち着くのではないかと考えていた。

初めは、スタートの興奮もあり、ドンドン反応していきたい衝動に駆られたが、なるべくエネルギーの消耗を抑える走りを心がけた。

 

最初の5kmは16:14。まずは理想的な入りだ。

 

5-10km~辛抱の上り~

 

誰かが飛び出す、また集団に戻るを繰り返しているうちに、長野の牛山さんが抜け出した。

優勝候補の一人ではあるが、マラソンは後半までわからないので、無理に追うべきではないと思った。

特別招待選手、旭化成の丸山選手(サブテンランナー)はあまり仕上がってないようで、同じ集団で走る。

 

集団の駆け引きをしながらも、飛び出した選手の事を気にかけながら走らないといけないという、より緊張感のある戦術的なレースとなった。

この5kmは16:17。かなり良いペースだが、上りを考えると少し頑張ってるかな?ただまだ離れるという選択肢は無い。



10-15km~上り最高到達地点へ。ここからは下り~

金沢マラソンのコースは全体的に下りが多いが、12kmまでは上り基調で、実際走ると思った以上にきつい。

コース下見をしたという牛山さんから事前に聞いていたので覚悟はできていたのが良かった。

序盤から思ったよりきついと精神的に焦り、さらに集団から脱落しまうと、一気にレース展開が変わってしまう。ここは我慢する所と思ってしっかり凌いだ。

「最高到達地点」という看板があったのが親切で嬉しかった。

よし、ここからは下りだ。長いトンネルで急に下りに変わるので、集団で足が詰まらないように位置取りを変えながら走った。

メタスピードエッジのクッションが気にならない程度の良い感じで支えてくれてとても心地良い。ここまで全く違和感無し。

リラックスして30kmまで乗り切りたい。

 

この5kmは16:21。他の選手も下りに入ってホッとしたのか、ややペースが落ち気味になる事もあった。

 

15-20k&HALF~サバイバル~

f:id:takemaru-yamasaki:20211102105756j:image

だが実力者揃いの集団。簡単には休ませてくれない。

一昨年の神戸マラソンでラストで抜かれた一花選手が狭い道が続く所で仕掛けてきた。地元勢で一昨年入賞しての招待選手なのでコースを熟知している。

ここは余裕が無い選手はきつかっただろうが、ぼくもなんとなく展開が掴めてきたので、反応し過ぎないようにしてここもうまく凌いだ。

 

そろそろ最終的な順位を意識し始める。まだ集団は15人以上いる。入賞争いにはまだここから7〜8名ほど脱落していただかないといけない。

 

ぼくは次は誰が舞台から退場してしまうのか。「名探偵コナン」のようなサスペンスモノが頭に浮かんだ。

わかりやすく言うと、サバイバルゲームのような展開になってきたという事だ。

 

石川県の人達は、全国各地から強豪ランナーが集まって上位争いをする大会になるというのを知っていただろうか。

テレビでどのように映っているのかを想像すると楽しくなってくる。

 

20km通過、この5kmは16:06と、ここにきてきつめのペースアップ。ここからじわじわ振り落としが始まってくる。

中間地点の通過は1時間8分46秒。今のぼくにとってはベストの展開だと感じた。

 

HALF-25km~順位を意識し始める地点~

 

f:id:takemaru-yamasaki:20211102105758j:image

マラソンでは適切なリズムで走れていれば、通常このあたりから走りが良くなってきて調子が良く感じる事が多い。

集団の動きも落ち着いてきて、ぼくもそれほど余力いっぱいというわけではないが、精神的な余裕はでてきた。

このあたりで集団は10名程度に絞られてきたように思う。

MK松本さん、川内よしきくん、秋山さん、小田くん、まるお製作所&ランニング食堂さんのランチューバー兄弟、かいじょうさん等、近年よく同じ集団で走る”いつメン“が揃っている。

まるお製作所部長さんは調子が良さそうで、またより速いタイムも狙っている動きで積極的。引っ張ってくれるのはありがたいが、少し後半に消耗が出るのではないだろうかと感じた。

 

ぼくは後方の位置どりが中心で、自分自身の調子を探りながらという感じだったが、徐々に結果への欲が増していった。

この5kmは16:26。レースが一旦落ち着き、みんなも勝負を意識し始めたのだと思う。独走する牛山さんの姿は未だ見えない。

 

25-30km~本当の号砲が近づいてきた~

 

f:id:takemaru-yamasaki:20211103210306j:image

目まぐるしく舞台が変わり、終盤の田園地帯コースへ。

 

さすがにだいぶ疲れを感じてきたが、それは誰もがそうだろう。

正直ここまで余裕がありそうな人が30kmから仕掛けてきたら、少し厳しいだろうなといった所。ちょっとした坂もかなりきつい。

だが急に動かない限りはまだイケる。同じくらいの余裕度の選手も集団には数人いるはずだ。上位は十分に狙えるぞ!

この5kmは16:2330km通過は1:37:47と、2時間17分台が狙える非常に良いペース。ここまでよく頑張った。

 

30-35km~入賞向けて~

マラソンは30kmから。遂に集団がバラける。

何もなくてもきつい所だ。遅れてしまったが、まだ近くに2人いて十分に入賞は狙えるはず。前からガクッと落ちる人もいるかもしれない。

と思って頑張っていたが、そこにもつけなくなり単独走に。あとは自分との戦いだ。余力ないなー。

 

この5kmは17分丁度。まだ悪くない。十分に良い結果が期待できるペースだ。ここまでの勢いをキープしたい。

 

35-40km-FINISH

 

しかし残り4〜5kmの付近で完全にガス欠の感覚が身体を駆け巡ってきた。

なんだか頭や目のあたりが変だ。眼鏡か汗止めのバンダナがズレたのだろうか。何度も触るが変わらない。

よくわからないが体調がおかしくなっていたのではないだろうか。

 

次第にもう自分の力ではどうしようもない疲労が襲い、ジョギング並みのペースダウンを余儀なくされる。ここを止めれない自分がもどかしく感じる。どこかで少し戻ってくれ。

 

バタバタと先に集団から離れた3〜4人に抜かれてしまった。こうなるときつい展開だ。35-40kmは時計を見なかったが18:51もかかっていた。

 

せめてラスト2.195kmで戻ってほしい、しかし願いは叶わずフラフラ状態のまま。競技場に入ってラストの直線へ。

もうだいぶ貯金食べちゃっただろうな。何分くらいかな。

f:id:takemaru-yamasaki:20211103210717j:image

金沢マラソン全ランナーフィニッシュ動画より

 

時計を見るとなんとか22分台には行けたかと思ったが、最終結果は2時間23分02秒(16位)だった。

レース後倒れ込むのはよくあるが、その後起きても、また座り込んでしばらく動けなくなるほど消耗は激しかった。

 

そこまでのペースは悪くなかったのに、ラスト2.195kmは9分24秒と過去最遅クラス。

ラスト数キロで数分持っていかれたと思うともったいない、もう少しなんとかならなかったのかと悔やんだが、振り返ってみるとあれほどレース後疲労していたランナーは他にいなかった。

 

ひょっとしたら危険なアクシデント一歩手前だったという事さえあったかもしれない。

 

今回は自分にできるベストを尽くせたと思う。

今までで最短の2〜3週間のマラソントレーニングで30km過ぎまで第2位集団に着けたのは今後に向けてとても手応えを掴めたし、顔見知りライバル達と地方マラソンで上位争いをする体験はとてもエキサイティングなものだった。

 

テレビで初めてマラソン中継を見るような地元の人達にも、レースの魅力が伝わっていれば嬉しい。もちろんどんなレベル・目的の人が参加して楽しい大会なのも間違いないだろう。


時代の流れと共に、小規模のエリートランナー向け大会の廃止は続いているが、金沢マラソンが日本のマラソン界をリードしていく存在として、今後ますます成長していくのが楽しみだ。

f:id:takemaru-yamasaki:20211102105945j:image

結局勝ったのは序盤で抜け出した牛山さん。ぼく達の集団でトップだった辻川選手に36秒の差をつけて逃げ切った。大きなマラソンでのフロントランは誰もが憧れる展開。優勝おめでとうございます!

真ん中はラストで抜かれてしまった12位のムサシさん(静岡のマイティマウストラッククラブ)。ムサシさんはまだマラソン経験は浅いが、これから上位争いの”いつメン“になるはず。

 

 

レース結果

 

2時間23分02秒(16位)

 

(5km)…16:14/16:17/16:21/16:06/16:26/16:23/17:00/18:51/9:24

▷METASPEED EDGE

 

☆初石川県大会

☆30km過ぎまで第2集団

△ラスト2.195km9分台…


www.youtube.com

 

次回は久々に旅ランを満喫できたレース前後の移動、観光編。