毎年12月第1週といえば、福岡国際マラソンです。
・参加標準記録
[Aグループ]
1)マラソン 2時間27分以内
2)30kmロードレース 1時間35分以内
3)ハーフマラソン 1時間05分以内[Bグループ]
1)マラソン 2時間35分以内
2)30kmロードレース 1時間45分以内
3)ハーフマラソン 1時間10分以内
数々の世界記録保持者、オリンピックメダリストが駆け抜けた平和台陸上競技場は、厳しい標準記録を突破した者だけがその舞台に立つことが許される、男性マラソンランナーにとっては”聖地”とも呼べる場所なのです。
今回はぼくにとって二度目の出場となった第67回福岡国際マラソン(2013年)のプレイバックについて書いていきます。
この時は、最後の最後まで油断は禁物…とは言い聞かせていたつもりだったのですが、前日に現地入りして発熱、最後の最後でやってしまいました。
胃が弱り消化能力が大幅に低下してしまったため、食事は常にエネルギーを取るか胃の調子を取るかのせめぎ合いに…
ホテルの人からもらった薬でなんとか凌ぎ、試合当日には熱が下がって、なんとか最悪の事態(欠場)だけは避ける事が出来ました。
レース展開
[レース前~ウォーミングアップ]
なんとか熱は収まり、身体のダルさはまだかなり残っているけど、もうやるしかない。
汗をかいて少しでも身体の毒素を外に出すため、やる予定の無かった朝のジョギングも行ってみた。
その後は前日あまり食べれなかったので、無理無い程度に小分けにパン等を食べる。
しかし食べ物が入るとまた全身の不快感が復活してしまう…
外は思った以上に雨が降っていたものの、寒くは無いので条件的には悪く無さそう。
レース1時間前くらいにアップをスタート。やはりしんどい。身体の動きは悪くないけど、胸のあたりがドクドクなるのが収まらない。
"ここまで来たら、気にせずやるしかない"という気持ちと実際に身体がダルくて気持ちが高まってこないのがグチャグチャになったままスタートラインへ。
今まではマラソンを走る前は怖かったけど、もうただ"身体がしんどい"というのが先で、緊張も気分の高揚も何処かへ行ってしまった感じ。
[スタート-5km]
少し呼吸が苦しい気もするが、"とにかくこのまま行こう"。
トラックを抜け、予定通り大きな集団で無理なく走っていると、少し驚きが。
アメリカのプロチーム、ハンソン-ブルックスの選手二人がなぜかこの集団で走っている。相当余裕がありそうで、「HAHAHA」と談笑しながら走っている。手堅く20分切りを狙いに来たんだろうか?と思いきや、しばらくして一気にペースアップ!
集団がバラバラになり、体調に自信が無いのもあり、大きくペースアップしたグループとは少し距離をとる。しかし5kmの通過は16分31秒。決して悪い入りでは無いけど、今までのマラソンではだいたい16分20秒あたりで入っていたので多少焦りもあった。
[5-10km]
別れた後ろの集団には9月の松江ハーフでコテンパンにやられた藤野選手もいたので安心感もあった。実力者をマークし、案内してもらうように走る。
この集団は良い感じのペースで進み、前の集団との差が徐々に詰まってくる。
そして藤野選手が集団を抜け出して前を追い始める。僕も身体が軽くなってきたのは付き合う事にした。10km手前で前の集団に追いつく。"計算どおり、ちょっと無駄な力を使ったけど、後はいつもどおり30kmまで余計な事は考えず行くだけだ"
この5kmは16分23秒とペースアップ。
[10-15km]
ところが10kmでまたもアメリカの二人が一気にペースアップ!多少無理して追いついた所に強烈なボディーブロー。
集団はまたしてもバラバラになり、僕は前とはだいぶ距離をとったにも関わらずその1kmの通過は3分12秒。"こんなのを繰り返してたら絶対最後までもたない!"
その後結局後ろの集団に逆戻り、もう前を追うのはやめてこの集団で30kmまで行くと決意する。この5kmは16分41秒。
[15-20km]
集団は12人くらい。スペシャルドリンクキャッチも以前よりだいぶうまくなった。胃の調子が心配なのであまり飲めなかったが。
コース最大のアップダウン別府大橋も無事クリア、このあたりは安定した感じで進む。
この5kmは16分41秒。少しペースが落ちてきたけど無理したくないのもあって、あまり気にせず淡々と走る。
[20-25km]
中間地点通過は69分59秒。このままではSUB-20はギリギリ。1km3分20秒で行ってるとつい安心してしまうけど、このペースでは2時間20分は切れない(2時間20分30秒くらいになる)。
このままで行っていいのか、また少し焦りが出てくる。
でも足が重くなってきたような…なんか早めにエネルギーが切れてきたような…レース中は体調不良の影響を考えないように、と思っても気分がすぐれないとどうしてもネガティブな考えが頭をよぎってしまう。
やはり他の人も遅いと感じ始めてきたようで、リズム良く走っていたサングラスの選手がペースアップ。少し不安を感じながらも集団からは離れないように頑張る。
徐々に集団が絞られてきた。
僕も楽では無かったけど、これまでもマークした選手に固執して失敗した事が数回あったので、ここは拘らず前を追う。"他の人も苦しいんだ"ここらへんから徐々に吹っ切れてくる。
この5kmは16分35秒。"SUB-20ペース"に戻る。
[25-30km]
集団は僕を含めて3~4人程度に。30km行くまでに集団がバラバラになってしまいそう。
さすがに快調に引っ張ってくれていた選手も変わってほしそうな感じ。誰かに引っ張らしてばかりというのはフェアじゃないかなとは思いつつも、どうも自分のリズムで押していくのに苦手意識はあった。
"もういいや、ペース落ちたら誰か出てくれるだろう"という気持ちで前へ。27km、28kmと意外にもkm3分20秒ペースくらいで押せてる。
出来れば並んで一緒に行きたかったけど、とうとう残りの選手も脱落。
30kmを手前にして周りの選手は全員振り落としてしまい、予想外の単独走がスタートした。
"もうこのまま行くしかない!"他の選手が脱落してテンションが上がってきた事もあり、もう一人で行けるかという不安や体調不良の事はどこかへいってしまった。
この5kmは16分44秒。若干落ちたけど、それほど悪くない。
[30-35km]
30km過ぎから"ゾンビ拾い"(前の集団から早々に脱落した選手を拾っていく)も徐々に始まり、ますますやる気が出てくる。30kmからの1kmも3分20秒くらい、落ちてない。
しかし香椎の折り返し(32km手前)から状況が一変する。
気分良く折り返した瞬間、強い向かい風が吹いてきた。"こういう事ね…"
25km過ぎからリズム良く走れていたのは追い風のおかげだった。徐々にペースが3分20秒を上回ってくる。33kmあたりから本当に苦しくなってきた。
この5kmは17分20秒。"とにかく前回のびわ湖よりペースを落とさない" 競る相手もおらず、徐々に「前回の自分との戦い」に切り替わっていった。
[35-40km]
本当に苦しい。
思ったよりエネルギーが残っていた前回のびわ湖と比べると、今回は遥かに苦しく感じた。
序盤からの胃の不快感、呼吸のしにくさも追い討ちをかける。
"終わったらなんでも好きな物食べ放題だ""完走してぶっ倒れればいいじゃないか"
とにかく頑張る、それだけ。
この5km18分19秒。前回のびわ湖よりは、40kmの通過は明らかに速い。安心感も出てくるが、びわ湖の時のように"あとたった2kmだ"とは思えなかった。
[ラスト2.195km]
ここからは手も痺れてきて、本当に前に進むのが苦しい。最後のちょっとした坂で全身が痺れてくる。
競技場に戻ってきた。本当に最後のもうひとがんばり。ちょっと22分台は厳しいか…でも自己記録更新は大丈夫そう。
ゴール、倒れる。うまく呼吸が出来ない。お腹が苦しい。でもなんとか自己記録で帰ってこれて良かった。
終わった直後は、素直にそういう気持ちでした。
しかし、徐々に最後の詰めが甘かった事の悔しさがこみ上げてきした。
ぼくは2か月後に初めて地元のフルマラソン、新設されたばかりの第2回高知龍馬マラソンを走る事に決めました。
ありがとう、セルベール!※禁止薬物は含まれておりません
大会結果
2:23:21(PB・27位)
(5kmLAP)16:31/16:23/16:41/16:41/16:35/16:44/17:20/18:19/8:07
HALF69:59-73:22
まとめ
福岡は大都会ぜよ
何回か橋はあるけどほぼフラット。
路面が固め?中盤で脚の疲労を感じる時もあるけどここは我慢
香椎の折り返しからが本当の勝負
駅伝シーズンと重なるため、びわ湖と比べると集団が小さくなりがちだが、その年によって違う
今回の失敗
・前日に発熱。食事の摂り方も含め、体調管理に気をつける
・急なペースアップに振り回される。
華やかなレース後レセプション
レース後の豪華なセレモニーも福岡国際マラソンの楽しみの一つ。
普段は絶対会えない海外招待選手との交流は毎回楽しみにしているけど、びわ湖を初め、前日レセプションの大会が多い。
ハッキリ言ってシリアスランナーは前日にどんちゃん騒ぎなんかしたくないもの。福岡のように終わってからにしてほしいなぁ。
セレモニーではレースのハイライトが流れ、拍手喝采。
川内選手と出会ったのも福岡が初めて。
ちなみにぼくが出たレースでは川内選手大体3位以内に入ってて相性が良い(?)んです。
立食パーティ。
和食ももちろん。
お待ちかねのスイーツ。
ペースメーカーを務めたコリス・バーミンガム選手。 テレビやネットの世界のランナーにリアルで会える不思議で貴重な機会です。
スペインの強豪、アヤド・ラムダセム選手。 ん?色紙の向きが…
2位のギタヒ選手と乾杯
優勝したマーティン・マサシ選手 。10000mでも大阪世界陸上銅メダルの実績を持つ凄い選手です。
4位のヘンリク・ゾスト選手 。ポーランド記録保持者。日本の大会ではおなじみ
ぼくが福岡に出ない理由。
たまたまタイミングが合わなかったと言えば、それで終わってしまう話ですが…
出来れば毎年でも出たいと思う大会です。
ただ3回目出るなら、過去2回とは違う、何かを残したいと思っています。
まだまだ色々な経験を積んで、強くなって戻ってきたいです。
…本当は家のテレビでLIVE観戦したいだけかもしれません。