まるランニングマガジン

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Takemaru Yamasaki マラソンランナー&プロランニングコーチ

おかやまマラソン振り返り[夢を見たあとで…]

スタート時刻は8時45分。

広い総合運動公園を活かした会場は待機もウォーミングアップもしやすく、とても快適だった。

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しっかり準備が出来たぼくは、スタートラインへ向かう。 

盛大なウォーミングアップセレモニーを楽しみながらも、少しづつ集中モードに入る。

今日ここで、勝つ…! 

 

 

[START-5km]

レーススタート。

整列ではなんとか前の方に行けたものの、若干後ろでスタートしてしまったので思うように前に出れず、一瞬つまづきそうになる。

いかん、出ると決めたら躊躇せず一瞬で前に出よう!

サッと飛び出して先頭集団へ。1人もの凄いスピードで飛び出したランナーがいる。

 

ぼくはこのように初めだけ全力で飛ばす目立ちたがり屋のランナーが大嫌い…なんて事は決してない。マラソンをどのように走ろうが本人の自由だ。

 

ただ、少なくともぼくはフルマラソンでいきなり全力に近いペースでダッシュするような事はしたくない。
やはりそれなりに準備して大きなマラソン大会に挑むのだから(練習だけでなく日程調整とかも含めて)、それを自ら台無しにしかねないような走りはとても出来ない。

 

ぼくは冷静、かつ大胆に、すぐ前に追いついて前を引っ張ってやるという気持ちで走った。

それだけ身体がよく動いていたし、フラットで走りやすそうなおかやまマラソンのコースで、あわよくばタイトルと自己ベスト、両方狙ってやろうという気持ちもあったからだ。

 

5kmは16分34秒とほぼ予定通りで通過。イイ感じのペース。

 

[5-10km]

このあたりからはもう、とにかく引っ張り続けた。
この時点で集団は4人。早い段階でそれなりのペースに持ち込み、絞れれば良いと考えていたので丁度良い人数だと思った。

やはり思っていたとおり、おかやまのコースはフラットで道も広く走りやすい。沿道の応援も凄い。
多少のアップダウンも良いリズム作りになると思いながら走れた。

 

この5kmは16分42秒。悪くないけど、自分で引っ張るとこんなものかな?
もう少し上げたかった。


このあたりでスタートダッシュランナーの次あたりで序盤は前を走っていた選手が脱落する。

 

[10-15km]

ドラマは突然。
ベスト記録は2時間13分台という凄い記録を持つ優勝候補の池田選手がコースをそれてトイレの方向へ。

あれれ、集団は残すはぼくともう一名のみ。
これひょっとして…

 

ぼくは心の中でつい呟いてしまった。

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大場先生ごめんなさいm(__)m DEATH NOTE (12)  

 

優勝の夢が、現実に近くなってきたような気がしてきた。

テンションも上がって、勝手にペースアップしていた模様。

この5kmを最速の16分27秒でカバー。

今思うと、ちょっと焦っていたし、力んでいたかもしれない。


ぼくは早く残ったライバルを振り落とし、悠々と都市マラソンの独走気分を味わいたかった。

 

[15-20km・HALF]

しかしこの後、驚きの事態が。

「いや~まさかトイレに行くとは思わなかったわ~」みたいな感じの声が聞こえてきた。

ん?なんと振り返るとまた池田選手が集団に復活しているではないか!

 

え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ガーンΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン

 

ペースアップしたのに、この人は一体どれくらいのペースで走ってきたんだ!?

明らかに動揺し、メンタルにダメージを受けてしまったぼく。 


ここらへんからさらに力みが出てしまったように思う。

「とにかく全力を振り絞って、相手のスタミナを削ぎ取るだけだ!」

ぼくは前を走り続けるしか無かった。

 

その後、しばらくすると今度は左足裏に変な感覚が…

足裏にマメができて、おそらく破けていると思った。

レース中に多少のアクシデントはあっても、ここまでハッキリ痛みを感じる事はここ数年無かった。

折り返しのターンの時か?急いで靴下履いたからシワができたかも?いやレース前から気づかないうちに練習で皮膚のダメージが残っていたのかもしれない。

でもこんな痛み、レースの間だけならなんとかなる!…と不安を感じつつも、自分を励ましながら前に進む。


しかし、他にも時折腹痛が起きたり、右足外頸骨(がいけいこつ)に痛みのような感覚があったりと、徐々に負のイメージが身体を纏いつつあった。

ハーフマラソンのスピードはよく仕上がっていると思っていたが、やっぱりハーフとは違う。これがマラソンの魅力とも言えるのだけど。

 

 中間地点を1時間10分26秒で通過。

動揺や身体のいくつかの不快もあってか、少しづつペースが落ちてきた。

 

[25-30km]

このあたりでずっとついていた白いシャツのランナーも脱落。

よく頑張ったと思った(少し上から目線)。

ぼくも必死だった。

しかし、ここまででスタミナを出し尽くしたランナーが入賞ラインまで生き残れるとは思えない。マラソンとはそういうものだ。

 

いよいよ一騎打ちに突入。

疲労感が、徐々に強くなってくる。

上体が固まり、リズム良く振れていたはずの腕がもう思うように動かない。

ただ池田選手もそれなりにキツそう。

もうここまで来たら、このまま前を走り続けて相手のスタミナを絞り切るしかない。

25-30kmは17分25秒。キロ3分30秒ペースに落としてしまった。

 

[30-35km]

フラットなおかやまマラソン最大の山場である岡南大橋に突入。

ゴールドコーストマラソンでも同じような所でアップダウンがあり、見ただけで気持ちがガクっと折れてしまったので、今回はここで勝負をかけるくらいの心づもりでいた。


もう既にかなり消耗していたので、とてもスパートと言える代物では無かったのだけれど、ここでは絶対引かないという気持ちだった。

 「おかやまマラソン2016」(実行委、岡山陸上競技協会主催)は午前10時34分、岡南大橋西詰め(30キロ)を先頭が通過した。

おかやまマラソンドキュメント: 山陽新聞デジタル|さんデジ

 

しかしここでも池田選手は離れず、長い橋を越えると手首あたりが次第に力を失ってきた。

ああ…そろそろ限界だ…

結局、先にスタミナが尽きたのはぼくの方だった。

給水のあたりで離れたぼくを見て、池田選手もペースを上げる。

足裏のマメが潰れた痛みも、気持ちでごまかし切れないほど強烈だった。

しばらくは諦めず追おうと気持ちあったものの、残されたエネルギーがあと10km弱を力強く走りぬくほどは無い事はすぐに身体が教えてくれた。

この5kmは18分38秒。毎度おなじみ、”35kmの壁”がぼくに襲い掛かる…

 

[35-40km-GOAL!]

どんどんペースが落ちていく。

あわよくば2位確保、抜かれる、なんとか表彰台、ああまた抜かれる…

 

このあたりは応援も少なく道も単調な感じになり辛かったが、何より今まで味わったスタミナ切れと比べても明らかに酷い状況だった。1km4分のペースよりさらに落ちている。


困ったことに、なんと顔以外の感覚が無い

アメリカのマラソン最速記録保持者のライアン・ホールがロンドンマラソンで自己ベストを出した時「最後の200mは幽体離脱にも似た感覚」を味わったそうだが、これがそうなんだろうか?

しかしぼくはゴールまで5kmは残されている。これがなんと長かった事か。


なんだか景色がピンク色に見えるような気もする。
死の危機、とまではいかないものの、途中で失神してもおかしくないと思いながら走っていた。

そんなぼくを突き動かしていたものはただ一つ。

”まだだ、まだ入賞でもフルーツが貰えたはず”


という、なにがなんでもタダでは帰らないというハングリー精神(?)だった。

これだとちょっとふざけた感じに聞こえたかもしれないけど、最低でも表彰台という目標は消えてしまった後、それでもおかやまで勝負した足跡を少しは残したいという思いが身体を前に押していた。


ゴールさえすれば入賞はできるという安全な状況では決してなかったけれど、薄れゆく意識をギリギリ保ち、ラスト数キロは顔だけを使って?ゴール。バッタリ倒れ込む。

 

優勝した池田選手は2時間23分43秒の大会新記録。
ぼくは最終的には10分近く離されての7位だったが、なんとか8位までの入賞は確保することができた。

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振り返って

今回はとても調子が良く、優勝とタイムの両方を追う走りを目指しましたが、結果的には自らにプレッシャーをかけて余分に体力を消耗してしまったような所もありました。

やはり大きなマラソンでの優勝というのは簡単な事では無いですね。

あとは、快晴がカラっと気持ち良くて、気温が上がっていたのもあまり感じず知らず知らずのうちに脱水状態にもなってしまったのかなとも思いました。

しかし一番の根本的な理由として、実験的に練習でロング走を少なめにした影響が後半モロに出てしまったように感じています。

中四国最大規模の大会で高知のランナーの強さを証明できたかというと、微妙な所です。
しかしテレビやネット中継ではそれなりのインパクトを残せたようで、後で声をかけてもらったり、レースを観戦した方から内容を評価していただくと少し報われたような気持ちになりました。

大規模な市民参加型マラソンがブームになり、みんなそれぞれの目標や楽しみ方を見つけて走っていると思いますが、ぼくの役割としてはマラソンレースの先頭集団の勝負の醍醐味や面白さ(国内トップランナーのようにはいかないけど)が初めてテレビで観る人に少しでも伝わればいいなと思って走っています。

 

走っている時は、沿道からの応援が力になったのはもちろん、折り返しでは 高知のランナーの方にもすれ違い声援をいただきました。

コーチは有言実行とは行かなかったものの、まるランニングクラブのメンバーは自己記録が続出して凄く嬉しかったです。

 

色々な所で応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。


そしてレースとは共に競い合う素晴らしいライバルがいてこそ。一緒に走ってくださった皆さん、ありがとうござました。池田さん、コースレコードでの優勝おめでとうございます。


最後に、今回はレース後に倒れてしまい担架で運ばれ、大会関係者の方には大変ご迷惑をおかけしました。

1万5千人も走って、ぼくみたいなランナーばかりだったら大変な事になりますね…


おかやまマラソンの大会関係者の皆さん、長い時間ランナーを全力でサポートしていただきありがとうございました。

https://www.instagram.com/p/BMzvJ-3jBdH/

なんとかお土産を高知に持って帰る事が出来ました。#おかやまマラソン #7位 #まるランニングクラブ

 

おかやまマラソン2016結果

 

2時間33分22秒(7位)

 

おかやまマラソン2016 - タイムリスト - ランナーズアップデート

Start 00:00:02   08:45:02
5km 00:16:36 0:16:34 09:01:36
10km 00:33:18 0:16:42 09:18:18
15km 00:49:45 0:16:27 09:34:45
20km 01:06:42 0:16:57 09:51:42
中間 01:10:26   09:55:26
25km 01:23:52 0:17:10 10:08:52
30km 01:41:17 0:17:25 10:26:17
35km 01:59:55 0:18:38 10:44:55
40km 02:22:26 0:22:31 11:07:26
Finish 02:33:22 0:10:56 11:18:22


夕食…鉄火丼、汁物、漬物少し、きびだんご
朝食…レーズントースト1.5、ヨーグルト/(6:30)残りのレーズントースト

SORTIEMAGIC RP2/プロパッドRソックスPOLAR M200

平均心拍数164(MAX179)

 

泊まったホテル… 坂出プラザホテル

 

GAORAで再放送が決定!ぜひぼくの雄姿(30kmまで…)をご覧になってください^-^

www.gaora.co.jp


おかやまマラソン2016/先頭グループ

 

グルメ日記

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定番のこれはやっとかないと。ゴールの競技場前広場は食べ物屋台でいっぱい。

念願の小豆島ラーメンにたどり着く。大盛にしたチャーシューがトロットロ。

 

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コロッケ片手にスタンドで帰ってくるランナーを応援。低脂肪な鹿肉と、なんと桃入りのもっコロ

 

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中がとってもジューシーな津山黒豚餃子

 

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デザートはジェラート、ミルクときなこのダブル。
レース後スポドリをガブ飲みしたのでそんなに食べれなかったのが残念←ツッコミ禁止
久々にデミカツ丼食べたかったなぁ。

 

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締めに桃のスムージー。



おかやまマラソン編、おしまい。

 To Be Continued…